
Scarlett 16i16 (4th Gen) は、Focusriteの第4世代Scarlettのうち、2i2や4i4より上の「マルチチャンネル」と呼ばれるグループの1台です。日本では2024年11月23日に発売されました(島村楽器の新製品案内による)。
この機種を理解するうえで、いちばん大事な点があります。マイクプリアンプは2基で、2i2や4i4と同じです。増えたのは、ライン入力、ライン出力、ヘッドホン出力、そしてデジタル入出力です。
選ばれる理由は3つです。
1. ライン入力が6つ、ライン出力が4つある。 公式の仕様表では、ライン入力が6、ライン出力が4です。シンセサイザー、ドラムマシン、外部のエフェクターをまとめてつなぎたい人向けの構成です。ライン出力が4つあるので、スピーカー2組を切り替えて聴き比べる使い方もできます。
2. ヘッドホン出力が2つ、独立している。 録音する人と聴く人が別々の音量で聴けます。2人で録音する場面や、プレイヤーとエンジニアが別々にモニターする場面で効きます。
3. ADATとS/PDIFで、入力をさらに増やせる。 ADATに対応した外部のプリアンプをつなぐと、マイクの本数を後から増やせます。最初はマイク2本で始め、必要になったときに拡張する道が残ります。
16in16outという数字は大きく見えますが、実際に役立つかどうかは、増える入出力が自分の機材に合っているかで決まります。
数値はすべてFocusrite公式ページの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力(公式表記) | 16 in / 16 out(ループバックを含めると18×18) |
| マイクプリアンプ | 2基(ファンタム電源は独立) |
| 楽器入力 | 2 |
| ライン入力 | 6 |
| ライン出力 | 4(バランス) |
| ヘッドホン出力 | 2 |
| デジタル入出力 | ADAT入出力各1・S/PDIF入出力各1 |
| MIDI | 入出力各1 |
| 解像度 | 24bit / 192kHz |
| ダイナミックレンジ | 122dB(出力側) |
| ゲイン範囲 | マイク69dB/楽器62dB |
| 接続 | USB Type-C(USB 2.0) |
| 電源 | バスパワー対応(3A)。外部電源(15W)は任意 |
| サイズ・重量 | 220×155.2×60.5mm・1.25kg |
| 同梱ソフト | Ableton Live Lite・Pro Tools Intro+・Cubase LE・Hitmaker Expansion |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
ライン入力6のうち、前面の2つはマイク・ライン・楽器兼用です。 レビューによると、前面に2つの兼用入力、背面に4つのライン入力が並びます。マイクを挿せるのは前面の2つだけで、背面の4つはライン専用です。
ゲイン範囲 マイク69dB — 小さい声でも、出力の小さいダイナミックマイクでも、音量が足りなくなりにくい余裕です。2i2と同じ数字で、この上位機でも変わりません。
ADAT入出力 — 光ケーブルで、最大8チャンネルぶんのデジタル信号をやり取りする規格です。ADAT対応の外部プリアンプをつなぐと、マイク入力を後から増やせます。
バスパワー(3A)と外部電源 — 公式の仕様表ではUSBバスパワーで動作するとされ、外部電源は任意です。パソコン側の端子の出力が弱いと不安定になる恐れがあるため、持ち出して使うなら、事前に電源の条件を確認してください。
Auto Gain、Clip Safe、Airの3機能は、2i2などの小型機と共通です。Auto Gainは10秒ほど演奏を解析して適正なゲインを自動で決め、Clip Safeは音割れの危険を検知するとゲインを自動で下げます。Airは高域の質感を足す2段のモードです。
この機種で変わるのは、周辺の使い勝手です。
独立した出力ごとのミックス。 公式ページは、ヘッドホン、モニター、ライン出力がそれぞれ独自のミックスを持てると説明しています。操作は設定アプリのFocusrite Control 2で行います。スマートフォンのアプリをパソコンと組み合わせれば、離れた場所から調整できます。
ループバック。 パソコンで再生している音を、録音用の入力として取り込む機能です。配信や、再生音と声を同時に録るときに使います。
つまり、録音の品質そのものは小型機と同じ土台で、増えた入出力ぶんだけ運用の幅が広がる、という位置づけです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥46,800 | 2026.10.14 取得時点の新品実売価格(Rock oN Line 楽天市場店。複数店で同額) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0815301001508 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Focusrite Scarlett 16i16 Gen4」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。18i16など名前が近い別モデルが混ざるため、商品名に「4th Gen」が入っているかの確認をおすすめします。
出力の数が要らないなら安く、マイクの数が要るなら高くなります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Focusrite Scarlett 4i4 (4th Gen) | ¥39,800最安 | マイク2本とライン入力を少し足せれば足りる人。ADATは使わず、ScarlettのAuto Gainを引き継ぎたい人 |
| Audient iD14 MKII | ¥51,700 | マイクは2本のまま、ADATで後から拡張する道を残したい人。プリアンプの質を重視する人 |
| Audient iD44 MKII | ¥84,700 | マイクを4本同時に録りたい人。ADATで20in/24outまで広げたい人 |
(価格はいずれも各機種のレビューに記載した実売価格。取得日はそれぞれ2026.09.09、2026.09.07、2026.09.29)
分かれ目はマイクの本数と、ライン入出力の数です。マイク2本でライン入出力も少なめでよければ4i4かiD14 MKII、マイクが4本欲しいならiD44 MKII、ライン入力とヘッドホン出力を増やしたいなら16i16、という並びになります。マイクを8本まで立てたい場合は、Scarlett 18i20が同じシリーズの上位機です。
評価は、コンバーターの質と入出力の充実で一致しています。Tape Opのレビューは、この価格でD/A変換の質に驚いたとして、メーターや独立した2系統のヘッドホン出力も評価しています。DigiFreqは、マイクプリが静かで高ゲインでも雑音が目立たず、ヘッドホン出力は歪みなく十分に鳴ると評しています(メーカー提供機でのレビューです)。
不満は具体的に挙がっています。DigiFreqは、搭載マイクプリが2基しかなく、複数マイクの録音にはADAT経由の外部プリが要る点を唯一の弱点としています。Tape Opは、Pro Toolsでサンプルレートの異なるセッションを開く前に、設定アプリで手動で切り替える必要があり、作業が遅くなると指摘しています。Focusriteは、チャンネル数の変化に関するUSBの制約が原因だと説明しています。Tape Opは、Auto Gainが控えめなレベルを設定する傾向にあるとも書いています。
Sound On Soundの第4世代レビュー(小型3機種が対象)は、マイクプリの等価入力雑音が-127dBuと低く、ゲイン幅が旧世代の56dBから69dBに広がったと評価する一方、設定アプリでゲインを数値で確認・入力できない点を弱点としています。
楽天のレビューは取得時点で見当たらず、国内の評価傾向は確認できていません。
実務的には、録音の音質を気にする人より、ライン機器をつなぐ数が多い人ほど不満が出にくい機種です。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は表に記載しています。
評判の参照元: