Audient iD44 MKIIは、同社のiD14 MKIIをさらに上位に置いた、20in/24outのオーディオインターフェイスです。放送局やレコーディングスタジオ向けの大型ミキシングコンソールを作ってきたAudientの回路設計を、この価格帯の機種にそのまま移植しています。
選ばれる理由は3つです。
1. コンソール由来のマイクプリアンプを4基。 Audient Console Mic Preampは、同社のASP8024-HEコンソールと同じディスクリート回路設計です。4基とも同じ回路のため、複数のマイクを同時に使っても音の質感が揃います。
2. ADAT/S/PDIFによる20in/24outへの拡張。 本体だけでも4つのアナログ入力を持ちますが、ADAT対応の外部プリアンプを足すと、44.1〜48kHzで最大16ch、88.2〜96kHzでも8ch(SMUX)まで入力を増やせます。
3. 独立した2系統のヘッドホン出力。 両方とも600Ω駆動に対応し、1系統目は標準フォーンとミニジャックの2口を持つため、最大3台のヘッドホンを同時接続できます。演奏者とエンジニアが別々のモニターで作業する環境に向きます。
一方で、ゲイン調整は手動が基本です。Focusrite Scarlettシリーズのような自動レベル合わせ機能は搭載していません。
比較の軸は3つです。
Audient公式の技術仕様ページの記載に基づく数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総入出力 | 20in/24out(アナログ4in/8out、デジタル16in/16out) |
| マイクプリアンプ | 4基(Audient Console Mic Preamp) |
| マイクゲイン | 0〜+60dB(技術仕様ページ記載。製品概要ページでは「70dBゲイン」という表記もある) |
| 楽器入力(JFET) | 2系統 |
| ラインゲイン | -10〜+50dB |
| ラインアウト | 4系統(DAC 1-4) |
| ヘッドホン出力 | 2系統(600Ω駆動対応。Headphone 1は標準フォーン+ミニジャックの2口) |
| ADAT | 16ch(44.1〜48kHz)/8ch SMUX(88.2〜96kHz) |
| S/PDIF | ステレオ(44.1〜96kHz) |
| ADCダイナミックレンジ | 120dB A-Weighted |
| DACダイナミックレンジ | 124dB(un-weighted)/126dB(A-Weighted) |
| コンバータ | 32bit AD/DA(公式ページ記載) |
| 接続 | USB Type-C(USB 2.0 High Speed) |
| 電源 | 12VDC専用ACアダプター(2A、センタープラス)。バスパワー非対応 |
| サイズ | 幅276mm×高さ51mm×奥行174mm |
数字のままでは判断しづらいので、効いてくる項目を訳します。
マイクゲイン0〜+60dB。 Audientの製品概要ページでは「70dBゲイン」という表現も使われていますが、技術仕様として明記されている数値は60dBです(iD14 MKIIでも同様の表記差があります)。出力の小さいダイナミックマイクでも音量不足に困りにくい水準です。
ADATで最大16ch追加。 本体だけでは4つのアナログ入力ですが、外部プリアンプを足すと44.1〜48kHzで最大16ch、88.2〜96kHzでは8chまで拡張できます。ドラムなど多点録音が必要になったときに、本体を買い替えずに拡張できます。
ヘッドホン出力2系統・600Ω駆動対応。 インピーダンスの高いモニターヘッドホンでも駆動できる設計です。Headphone 1は標準フォーンとミニジャックの2口があるため、最大3台のヘッドホンを同時に接続できます。
外部電源が必須。 iD14 MKIIのようなバスパワー駆動ではなく、12VDC・2Aの専用ACアダプターで動作します。入出力数の多さに合わせて電源も独立させた設計です。持ち出し先でコンセントを確保できるかを、購入前に確認しておく必要があります。
iD44 MKIIの中核は「Audient Console Mic Preamp」と呼ばれるマイクプリアンプです。Audientは大型ミキシングコンソールを作ってきたメーカーで、その回路設計をこの価格帯のインターフェイスに移植しています。4基すべてが同じ回路のため、バンド一発録りのように複数のマイクを同時に使う場面でも、チャンネル間の音の質感が揃います。
バランスドインサート。 チャンネル1・2にはフルバランスのインサートループがあり、プリアンプ後・コンバータ前という正確な位置に外部の実機コンプやEQを挿入できます。
Audio Loop-back機能。 パソコンで再生している音源をマイク入力とは別トラックに同時録音できる機能です。配信やナレーション収録で、内部音声と生の音を分けて録りたい場面に向いています。
モニターコントロールとトークバック。 スピーカーの切り替え、位相反転、モノサム、ダイム・ミュートといった機能を本体のボタンに割り当てられます。専用のトークバックボタンも備えており、レコーディング時のディレクション用途に使えます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥84,700 | 2026.09.29 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 5060374260450 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Audient iD44 MKII」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
同じ製品でも、店舗によって実売価格に幅があります(2026.09.29時点で税込8万円台前半〜12万円台まで確認)。価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Universal Audio Volt 476 | ¥62,700最安 | 4系統の入力で足り、価格を抑えたい人。詳しくはVolt 476の単体レビューで解説しています |
| Focusrite Scarlett 18i20 (4th Gen) | ¥93,000 | 同程度の拡張性を、Auto Gainなど自動化機能込みで求める人 |
| RME Fireface UCX II | ¥242,000 | コンバータの評価とルーティングの自由度を最優先したい人 |
(価格はいずれも2026.09.29時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「拡張性をどこまで求めるか」と「価格」です。4系統の入力で足り価格を抑えたいならVolt 476、同程度の入出力数を自動化機能込みで求めるならScarlett 18i20、コンバータの評価とルーティングの自由度を最優先したいならFireface UCX II、コンソール由来のプリアンプの質とADATでの拡張余地を軸に選ぶならiD44 MKIIという並びになります。iD44 MKIIとVolt 476の価格差はおよそ3.2万円あり、この差の大半はマイクプリアンプの基数(2基→4基)とADAT拡張性に対する価格です。
海外メディアのレビューでは、プリアンプとコンバータの音質面が高く評価されています。MusicTechは、Audientのコンソール由来のマイクプリアンプについて、繊細で色付けが少なく、わずかなアナログの温かみを持つレスポンスだと評価し、コンバータの改良によって総合的な歪みとノイズが9dB改善された点を挙げ、価格が2倍以上するインターフェイスに匹敵する音質だとしています。MusicRadarも同様に音質面を最大の魅力として挙げ、価格に対して質の高い製品だという評価をしています。Gearspaceのユーザーレビューでは、アルバム数枚分の録音を経ても音の透明感に不満はないという声があります。
一方で不満点も指摘されています。MusicTechは、本体のアサイナブルボタンに割り当てられる機能が3つしかなく、カスタマイズの自由度が限定的だとしています。またiD14 MKIIと同様に、付属アプリ「iD」のドライバに関する不具合報告がGearspaceのフォーラムに見られ、認識不良やスリープ復帰後の接続断が過去に報告されています。本体のアナログ回路への評価は安定して高く、不満は主にアサイナブル機能の少なさとアプリ側の細かな挙動に集中しています。
実務的には、プリアンプとコンバータの質を重視する人に向く一方、外部電源が必須のため設置場所とACアダプターの取り回しを見込んでおく必要があります。
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