オーディオインターフェイスを調べ始めると、「DTM向け」と「配信向け」で別の機種を勧められることがよくあります。DTM向けは録音のゲインや音質を、配信向けはミキシングやループバックを重視する設計になっているためです。ZOOM AMS-24は、この2つの用途を1台でまかなう構成になっています。
選ばれる理由は3つです。
1. Loopback機能で配信ソフト側の設定が要らない。 マイクの声とパソコンの再生音(BGM・ゲーム音・通話相手の声)を本体側でミックスし、配信ソフトには1本の音声として渡せます。OS側の仮想オーディオ設定やミキサーアプリを別に組む手間が減ります。
2. 電源環境を選ばない。 USBバスパワーのほか、単三電池2本でも駆動します。電池ならおよそ4時間の連続使用が公称値です。コンセントが遠い配信現場や屋外での収録でも、電源の確保に悩まずに済みます。
3. 実売¥14,300程度に価格が抑えられている。 2イン/4アウトの構成、Direct Monitor、Loopback、Hi-Z入力を備えた上でこの価格帯に収まっています。
比較の軸を先に決めます。
AMS-24は「配信機能」と「電源の自由度」の両方を優先したい人に向いた選択です。
すべてZOOM公式ページおよび取扱説明書の記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力 | 2 in(XLR/TRSコンボ×2、INPUT1はHi-Z切替可)/4 out(TRS標準フォン×2、ステレオミニヘッドホン×2) |
| 対応ビット/サンプリングレート | 24bit / 96kHz |
| 周波数特性 | ±1dB(20Hz-20kHz、44.1kHz時)/±1.5dB(20Hz-40kHz、96kHz時) |
| 入力換算ノイズ(EIN) | -120dBu以下 |
| 電源 | USBバスパワー/単三電池×2(約4時間)/別売ACアダプター(AD-17) |
| サイズ・質量 | 94.5(W)×74.0(D)×46.0(H)mm・180g(電池含む) |
| 対応OS | Windows 10/11、macOS 10.14.6〜26、iOS 13.7〜26、Android 9〜11 |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
入力換算ノイズ -120dBu以下 — マイクプリアンプ自体が生み出すノイズの少なさを示す数値です。数値が低いほど、ゲインを上げたときに「サー」というノイズが目立ちにくくなります。ただし後述するように、実際にゲインを大きく上げた際の挙動については海外レビューで指摘もあり、感度の低いマイクを使う場合はゲイン設定に気を配る必要があります。
電源3系統 — USBバスパワーが使えない環境でも、単三電池2本があれば動きます。ACアダプターは別売(AD-17)です。カフェや屋外からの配信、電源が取りにくい場所での収録など、コンセントに縛られたくない場面で選択肢が広がります。
24bit/96kHz — 実際の制作では24bit/48kHzで作業する場面が大半です。96kHzは余裕として付いていると考えて構いません。この数字だけで機種を選ぶ必要はありません。
AMS-24には「Music」と「Streaming」の2つのモード切り替えスイッチがあり、用途に応じて内部の音声ルーティングが変わります。
Direct Monitor — パソコンを経由せず、入力音をそのまま返す。 パソコン側の処理を通さずにモニターできるため、歌いながら自分の声を聞くときに遅延を感じません。
Loopback — 入力音とパソコンの再生音を混ぜて配信に渡す。 マイクの声、BGM、ゲーム音、通話相手の声をすべて1本のステレオ音声としてまとめ、配信ソフトに渡せます。この機能がない機種では、OSの仮想オーディオデバイスや別のミキサーソフトを組み合わせる必要が出てきます。
ヘッドホン出力が2系統(A・B)。 2人が別々の音量で同時にモニターできます。対談形式のポッドキャストや、2人配信でそれぞれ好みの音量に調整したい場面に向いています。
INPUT1のHi-Z切替。 ギターやベースをそのまま直結できます。マイク入力と楽器入力を切り替えながら使う一人配信・弾き語り配信で、機材を増やさずに対応できます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥14,300 | 2026.08.30 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4515260025930 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「ZOOM AMS-24」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
AMS-24が唯一の正解ではありません。目的が違えば答えも変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| YAMAHA AG03MK2 | ¥25,300 | ミキサー型で物理フェーダーやDSPエフェクトを使いながら配信したい人 |
| Focusrite Scarlett 2i2 (4th Gen) | ¥28,600 | 配信機能より録音の質とゲインの余裕を優先したい人。詳しくは単体レビュー |
| BEHRINGER UM2 | ¥7,150最安 | 配信機能は不要で、とにかく安く録音を始めたい人 |
(AG03MK2・Scarlett 2i2・UM2の価格はいずれも2026.08.24〜27時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は単純です。配信の運用を機材側でまとめたいならAG03MK2、録音のゲインと音質を最優先するならScarlett 2i2、機能を絞ってとにかく安く始めるならUM2。「配信機能と電源の自由度を、価格を抑えたまま両方欲しい」という中間の需要を埋めるのがAMS-24の立ち位置です。
AMS-24について、英語圏の専門メディアによる独立レビューは多くありませんが、Sound on Soundのレビューでは、歌唱やギター演奏、ポッドキャスティング、ライブ配信まで、複雑な設定を組まずに一通りこなせる守備範囲の広さと、堅牢で持ち運びやすい作りが評価されています。一方で、ボリュームノブについては操作しづらいという指摘があり、外観のデザインも無骨だと評されています。音質面では、入力ゲインを大きく上げるとノイズが目立つ場面があるとも記載されており、感度の低いダイナミックマイクを使う際はゲイン設定に注意が必要だとうかがえます。
海外のレビューサイトFrieveの検証では、公表値を上回るフラットな周波数特性が確認された一方で、THD+N(歪み率)やS/N比といった主要な性能指標そのものはメーカーから公開されていない点が指摘されています。
国内では弾き語りすとLABOのレビューが、クセのない素直な音質とマイクプリのゲインの十分さ(同レビューによれば最大+58dB)を評価点として挙げる一方、本体が軽いためケーブルの重さに引っ張られやすいという設置上の弱点や、DSPエフェクトや専用アプリを持たない機能の絞り込みを不満点として挙げています。姉妹機のAMS-22についてはコミュニティフォーラムでノイズが多いという声が見られますが、AMS-24自体を名指しした同様の投稿は確認できませんでした。
実務的には、配信機能の使い勝手やコンパクトさを評価する声が中心です。シビアな録音品質や高度なエフェクト処理を求める場合は、ケーブルの取り回しとゲイン設定に気を配ったほうがよさそうです。
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