2入力の入門機(Scarlett 2i2やAG06MK2など、実売2万円台)で配信や宅録を続けていると、いずれ壁にぶつかります。壁の種類は人によって違い、ここが分かれ道です。
両者は「上位互換」の関係ではなく、伸ばしたい方向が違う別物です。まずどちらの壁にぶつかっているかを確認してから読み進めてください。
Scarlett 2i2 のようなシンプルな2入力機は、マイクとギターを録るという最小限の役割には強い機材です。一方で、次のような場面では役者不足です。
この不満がどちらの方向のものかで、次に選ぶ機材が変わります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入力 | 2 Combo(Mic/Line/ヘッドセットマイク、Mic/Line/Hi-Z)+AUX入力 |
| 出力 | TRS出力×2、USB2系統(MAIN: 32bit/SUB: 16bit) |
| サンプルレート | 44.1kHz〜192kHz |
| ダイナミックレンジ | [MIC/LINE/Hi-Z] 115dB/[MAIN OUTPUT] 125dB |
| 操作パネル | 4.3インチタッチスクリーン+コントロールノブ5個 |
| サイズ・重量 | 245×78×182mm・1.9kg |
内蔵DSPで音声処理が完結する。 ノイズゲート、コンプレッサー、EQ、リバーブ、アンプシミュレーター、ボイスチェンジャー(PitchFix)まで、本体だけで処理できます。これまでOBS側のフィルターで組んでいた作業を、機材側に任せられます。
AutoGainとDuckerで手動調整が減る。 AutoGainは入力レベルを自動で最適化する機能です。Duckerは、話し始めたときにBGMや効果音の音量を自動で下げる機能で、配信・雑談中心の運用で効果を発揮します。
ダイナミックレンジ115dB。 Scarlett 2i2のダイナミックレンジ120dBと比べるとやや控えめですが、実用上の差は小さく、URX22Bの価値は数値ではなく操作性と内蔵DSPにあります。
4.3インチのタッチスクリーン。 ミキサーの画面をパソコンに頼らず本体で完結させられます。配信中にPC画面を切り替えずに音量バランスを調整できるのは、実運用での手間を減らします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力 | 28 in / 32 out(アナログ入力10・アナログ出力10・ADAT光2バンク・S/PDIF) |
| サンプルレート | 44.1〜192kHz |
| ダイナミックレンジ | ライン出力125dB/マイク入力118dB |
| レイテンシー | 約2ms(96kHz・32サンプルバッファ時) |
| 接続 | USB-C 3.2 Gen1(5Gbps) |
| サイズ・重量 | 48.26×31.1×4.44cm・5kg(1Uラック) |
28イン/32アウトという桁違いの入出力。 アナログだけで10入力・10出力、さらにADATやS/PDIFのデジタル入出力を加えて合計60チャンネルに達します。バンドの各パートに個別のマイクを立てて同時録音する、といった用途に対応できる規模です。
レイテンシー約2ミリ秒。 レイテンシーとは、演奏してから音がスピーカーやヘッドホンに届くまでの遅れです。2msは人間にはほぼ感知できない速さで、リアルタイムでエフェクトをかけながらモニターしても違和感がほとんどありません。多チャンネル機はこの数値が悪化しやすいため、規模のわりに優れた値です。
本体内蔵の24チャンネルDSPミキサー。 パソコンを介さず本体だけでミキシングができるため、DAWの負荷とは別に音を作り込めます。レコーディングスタジオでの運用を想定した機能です。
一言でいえば、URX22Bが「1人の配信・宅録を賢くする機材」であるのに対し、MOTU 828は「複数人・複数トラックの本格収録を可能にする機材」です。価格差の3倍以上は、この規模の違いに対応しています。
| 機材 | 向いている用途 | 価格(税込) | 購入 |
|---|---|---|---|
| 最安YAMAHA URX22B | 1人配信・弾き語りの音声処理を自動化したい人 | ¥63,800 | 楽天市場で見る / Amazonで見る |
| MOTU 828 | バンド一発録り・多チャンネル宅録スタジオ | ¥198,000 | 楽天市場で見る / Amazonで見る |
どちらか一方を選ぶための比較であり、両方をまとめて買う構成ではありません。価格は日々動くため、購入前に表のボタンから最新の価格をご確認ください。
URX22Bで足りるかを見極める基準。 録るのが基本的に自分1人(歌、弾き語り、配信でのトーク)で、入力を2つより増やす予定がないなら、URX22Bの範囲で十分です。内蔵DSPと自動化機能に投資する選び方です。
MOTU 828まで踏み込む基準。 「バンドメンバー全員のマイクを同時に録りたい」「アナログシンセやミキサーなど、複数の外部機材を常時接続しておきたい」という要望が具体的にあるなら、828クラスの入出力数が必要です。逆にこの要望が無いなら、価格差に見合うリターンは出ません。
中間の選択肢もある。 「入力をあと2〜4個増やしたいだけ」であれば、828ほどの規模は過剰です。8〜16チャンネル程度の中位機を別途検討したほうが、価格と用途が釣り合います。この価格帯の比較は今後の記事で扱う予定です。
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