Scarlett 2i2は「最初の1台」の定番ですが、入力は2つしかありません。歌いながらギターを弾く程度なら足りても、もう1本マイクを立てたい、鍵盤とボーカルを同時に録りたい、となった瞬間に頭打ちになります。Scarlett 4i4 (4th Gen) は、その頭打ちの先にある選択肢です。
選ばれる理由は3つです。
1. マイクプリ2系統・ライン入力4系統に増える。 2i2の「マイク2・楽器2」という構成から、マイクプリ2基はそのままに、ライン入力が4系統(うち2系統は可変ゲイン)まで広がります。ボーカル2本を同時に録る、鍵盤をライン録りしながらマイクも生かす、といった組み合わせが可能になります。
2. 出力も4系統に増え、配線の自由度が上がる。 2i2はライン出力2系統(実質ステレオ1系統)ですが、4i4は4系統です。モニタースピーカーとは別にモニターコントローラーへ送る、演者用のキューボックスに別系統を送る、といった2i2ではできない配線が組めます。
3. MIDI入出力を搭載している。 2i2にはMIDI端子がありません。外付けのハードウェアシンセやMIDI音源を使う予定があるなら、この差は使い勝手に直結します。
音質の土台となるゲイン69dB・Auto Gain・Clip Safe・Airモードは2i2と共通です。入力と出力の系統数だけが増える、という理解で選んで問題ありません。
すべてFocusrite公式ページ(focusrite.com)の記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力 | マイクプリ2・楽器(Hi-Z)2・ライン入力4(可変2・固定2)・ライン出力4・ヘッドホン1・MIDI入出力 |
| 同時入出力 | 6x6(ループバック含む) |
| 解像度 | 24bit / 192kHz |
| ゲイン範囲 | マイク・可変ライン入力とも69dB |
| マイク入力ダイナミックレンジ | 116dB(A-Weighted) |
| 全体のダイナミックレンジ | 120dB(A/D)/130dB(D/A) |
| 接続・電源 | USB Type-C・バスパワー(1.5A) |
| サイズ・重量 | 180×130×60mm・0.798kg |
数字のままでは判断できないので、2i2との違いが出る項目を訳します。
バスパワー 1.5A — 2i2の900mAより大きい電流を必要とします。入出力の系統数が増えたぶん、内部の回路も増えているためです。セルフパワーでないUSBハブを挟むと動作が不安定になる可能性は2i2よりさらに高くなります。パソコン本体のUSB端子に直接つなぐのが基本です。
同時入出力 6x6(ループバック含む) — 通常の4in4outに加えて、パソコン内部で再生している音をそのまま録音チャンネルに戻す「ループバック」機能を使うと、実質6系統として扱えます。配信やポッドキャストで、自分の声と再生中のBGM・通話相手の声をまとめて1本の録音にしたい場合に使う機能です。
ゲイン範囲 69dB(マイク・可変ライン共通) — 2i2と同じ数値です。マイクプリの基本性能は上位互換ではなく、2i2の音質をそのまま維持して系統数だけを増やした機種だと考えると位置づけが分かりやすくなります。
Auto Gain / Clip Safe. 2i2と同じ機能です。10秒間の演奏を解析して適正ゲインを自動設定するAuto Gainと、クリップの直前でゲインを自動的に下げるClip Safeを、4系統すべてのマイク・ライン入力で使えます。入力数が増えるほど手動でのレベル合わせは面倒になるため、この自動化の恩恵は2i2より大きく感じられる場面があります。
Airモード. Presence(高域を持ち上げるアナログ回路)とHarmonic Drive(中域の質感を加えるDSP処理)の2段構成も共通です。
MIDI入出力. 5ピンDINのMIDI IN/OUTを備えています。DAWと外部シンセ・MIDI音源との間で信号をやり取りする用途に対応します。2i2にはこの端子自体がないため、MIDI機器を使うなら4i4以上を選ぶ必要があります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥39,800 | 2026.09.09 取得時点の実売価格(イケベ楽器楽天ショップ) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0815301001492 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
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4i4が唯一の正解ではありません。同じく4入力前後のインターフェースと比べます。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Audient iD14 MKII | ¥51,700 | クラスA的な音質のプリアンプを重視する人。JFET楽器入力も備える |
| MOTU M4 | ¥47,960最安 | 独自の入出力メーターでレベル管理をしっかり見たい人 |
| Universal Audio Volt 476 | ¥62,700 | Volt独自のビンテージ・モード(真空管的な質感付加)を使いたい人 |
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Audient iD14 MKIIは4i4とほぼ同価格帯で、プリアンプの評価が高いことで知られる機種です。MOTUとUniversal Audioは4i4より高価格帯に位置し、それぞれ独自の付加価値(メーター表示・ビンテージ回路)に対価を払う形になります。純粋に「2i2の音を保ったまま入出力を増やしたい」という動機なら4i4が最短距離で、音の色付けや測定精度まで踏み込みたいなら上位2機種を検討する、という住み分けです。
Scarlett 4th Genシリーズは全体として評価が安定しており、4i4単体でもMusicTechのレビューは10点満点中9点を付けています。音がクリアで正確だという評価に加え、プリアンプとコンバーターの完成度をプロレベルと評する声もあります。フロントパネルの「ゲインハロ」(つまみ周囲が光って入力レベルを示す仕組み)は、従来より信号レベルを把握しやすくなったという評価につながっており、Auto Gain・Clip Safeによる操作性の向上も4th Gen共通の美点として挙げられています。
一方で具体的な不満点も報告されています。MusicTechは、AirのHarmonic Driveを使わずPresenceだけを単独で有効化できない仕様上の制限を指摘しています。また複数のレビューでは、旧世代にあった入力パッド(レベルを一段落とす機能)が4th Genで省かれたことで、出力の大きいパッシブ・ギターを直接つなぐとクリップしやすくなったという声が上がっています。ゲイン69dBという広いレンジの裏返しとして、逆に強い信号には弱くなっている面がある、という理解です。
楽天のユーザーレビューはまだ蓄積がなく、国内での評価傾向はこれから積み上がっていく段階です。実務的には、パッシブ・ギターやライン録りの強い信号を直接つなぐ場合、まず低めのゲインから試す運用が無難です。
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