ダイナミックマイクの話題で、ボーカル用のSM58と並んで必ず名前が挙がるのがSHUREのSM57です。用途はボーカルではなく主に楽器で、ギターアンプ・スネアドラム・ブラス楽器の近接収音で長く定番として使われています。
選ばれ続ける理由は3つです。
1. 楽器の近接収音向けに調整された特性。 Shure公式は「最適に調整された周波数特性により、楽器の音色を美しく、ボーカルを豊かに再現」すると説明しています。スピーカーやドラムヘッドのすぐそばに置いても暴れにくい設計です。
2. 電源が要らず頑丈。 SM57はダイナミック型のためファンタム電源(48V)が不要です。マイク入力があればすぐ使えます。エアー式ショックマウントも内蔵しており、アンプやドラムの近くに置いても振動によるノイズを拾いにくくなっています。
3. 現場での実績が桁違いに多い。 レコーディングスタジオでもライブハウスでも使われてきたマイクなので、ギターアンプへの立て方・角度による音の変化について、公式・非公式を問わず参考にできる情報が豊富です。
比較の軸を先に決めます。楽器の近接収音でマイクを選ぶときに効いてくる条件です。
SM57はこの3つを満たしたうえで、ボーカル用のSM58と兼用しやすい価格帯にいます。
Shure公式のユーザーガイドに記載された数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイク方式 | ダイナミック型(ムービングコイル) |
| 指向性 | カーディオイド(単一指向性) |
| 周波数特性 | 40Hz〜15,000Hz |
| 出力インピーダンス | 310Ω |
| 感度 | -56.0dBV/Pa(1.6mV、1kHz時) |
| 重量 | 0.284kg |
| コネクタ | XLR(3ピン、オス) |
| 筐体 | ダークグレーのエナメル塗装ダイキャスト・スチール+ポリカーボネート製グリル+ステンレス製スクリーン |
数字のままでは判断できないので、意味を訳します。
周波数特性 40Hz〜15,000Hz — SM58(50Hz〜15,000Hz)よりわずかに低域側まで伸びています。ギターアンプの低音やバスドラムの胴鳴りなど、楽器特有の低い帯域まで拾いやすい特性です。
出力インピーダンス310Ω・感度-56.0dBV/Pa — SM58とほぼ同じ水準の出力です。コンデンサーマイクに比べると出力は小さく、オーディオインターフェイス側のゲインを十分に上げて使う前提の数値です。
重量0.284kg・ダイキャスト筐体 — 金属製の頑丈な作りです。ギターアンプのスピーカーグリルすれすれに固定したり、マイクスタンドを頻繁に動かしたりする用途でも壊れにくくなっています。
近接効果 — 単一指向性マイクに共通する性質で、音源に6mm程度まで近づけると100Hz以下の低域が6〜10dB持ち上がります。SM57はこの低域が急激に膨らみすぎないよう緩やかにロールオフする設計で、近接収音で低音が破裂音のように暴れるのを抑えています。
エアー式ショックマウント。 マイク内部の振動板を機械的な振動から切り離す機構が内蔵されています。ギターアンプの筐体やドラムのシェルに近接させて置いても、接触・振動によるガサガサという音が録音に乗りにくくなります。
カーディオイド・ピックアップパターン。 正面以外の音を拾いにくい単一指向性のため、ドラムセットのように複数の音源が近くにある環境でも、狙った楽器の音だけを拾いやすくなっています。
交換部品として供給されるグリル・カートリッジ。 グリルの変形やカートリッジの劣化があっても、マイク本体を買い替えずに部品交換で対応できます。SM58と共通の交換用クリップ(A25D)が付属し、周辺機材を使い回しやすい設計です。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥15,598 | 2026.08.27 取得時点の実売価格(Shure公式ストア・国内正規品) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「SHURE SM57-LCE」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「SHURE SM57-LCE」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
SM57が唯一の正解ではありません。目的や環境が違えば答えも変わります。
| マイク | 種類 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58 | ダイナミック(ボーカル向け) | 楽器ではなく声を録りたい人。詳しくはSHURE SM58の単体レビューで解説しています |
| audio-technica AT2020 | コンデンサー | 静かな部屋があり、アコースティック楽器の繊細な質感まで録りたい人。違いはコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いで解説しています |
| SHURE BETA 57A | ダイナミック(超単一指向性) | 音量の大きいアンプの近くでハウリングをより抑えたい人 |
分かれ目は単純です。声を録るならSM58、楽器を近接収音するならSM57、大音量のライブでハウリング耐性をさらに求めるならBETA 57Aのような超単一指向性モデル、という並びになります。
SM57は業界標準と呼ばれるだけに、賞賛と辛口評価が両方はっきり出る機種です。Gearspaceのスレッドでは「安くて頑丈、何に向けても使える万能選手」という肯定的な評価が多い一方、「$80の価格を考えれば妥当だが、過大評価されている」「単体で聞くと音が薄くて安っぽい」という辛口の指摘も見られます。褒める側と厳しい側、どちらの意見も一定数あるのが実情です。
不満点として繰り返し挙がるのが近接効果です。ギターアンプに1インチ程度まで近づけて収音すると低域が過剰に膨らみ、200Hz付近を大きくカットしないと使いづらいという報告があります。もともとSM57は1960年代に声(スピーチ)用として設計された経緯があり、楽器用に最適化されたマイクではないという背景を指摘する声もあります。それでも実際にはスネアやギターアンプの定番マイクとして使われ続けており、設計意図と実運用の評価がずれている珍しい例です。
楽天のユーザーレビューはLCEモデルで3件・平均4.67と高評価です(2026.08.26取得)。件数は少なく参考程度ですが、否定的な内容は見当たりません。
複数のソースで一致しているのは「壊れにくく、迷ったらこれを選んでおけば大きく失敗しない」という評価です。逆に意見が割れるのは、その音質を積極的に評価するか、値段相応の平凡な音と見るかという点です。
実務的には、ギターアンプ近接収音で低域が濁る場合は、まず距離を数cm離すかローカットで対処するのが定石です。音質に強いこだわりがある場面では、より高価なマイクとの使い分けを検討する価値があります。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.08.27時点)。カタログ記載価格(¥7,500)は本体単品の実売価格と大きく乖離していたため、Shure公式ストアの本体単品出品で価格を再検証しました。
評判の参照元: