宅録用のコンデンサーマイクを調べ始めると、比較記事のほぼすべてに登場する機種があります。audio-technicaのAT2020です。単体3,000円台のマイクから10万円を超えるマイクまで、価格帯を問わず引き合いに出される基準機のような立ち位置にいます。
比較の基準として選ばれ続けるには理由があります。この機種の場合は3つです。
1. 単一指向性コンデンサーとして素直な特性。 バックエレクトレットコンデンサー型・単一指向性というオーソドックスな構成で、癖のある味付けがされていません。何と比べても違いが分かりやすい、比較の土台にしやすいマイクです。
2. ノイズが目立ちにくい。 S/N比74dBという数値は、静かな環境で録ったときに機材自体のノイズが気になりにくい水準です。防音対策のある部屋での宅録なら、この静かさがそのまま録音のクリアさに直結します。
3. 1万円台前半という価格。 コンデンサーマイクの入門帯として手を出しやすく、最初の1本として選ばれてきた実績があります。
比較の軸を先に決めます。コンデンサーマイクを選ぶときに効いてくる条件は主に3つです。
audio-technica公式の仕様表に記載された数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイク方式 | バックエレクトレットコンデンサー型 |
| 指向性 | 単一指向性 |
| 周波数特性 | 20Hz〜20,000Hz |
| 感度 | -37dB(14.1mV)(0dB=1V/Pa、1kHz) |
| 最大入力音圧レベル | 144dB SPL(1kHz、THD1%) |
| ノイズレベル | 20dB SPL(A特性) |
| ダイナミックレンジ | 124dB(1kHz、最大SPL時) |
| S/N比 | 74dB(1kHz、1Pa、A特性) |
| 出力インピーダンス | 100Ω |
| 電源要件 | ファンタム電源48VDC・2mA |
| コネクタ | 3ピンXLR(オス) |
| サイズ・重量 | 長さ160mm・最大径52mm・345g |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
S/N比74dB・ダイナミックレンジ124dB — 「一番小さい音と一番大きい音の差」と「信号とノイズの比率」を表す数値です。数字が大きいほど、静かな場面でマイク自体のサーというノイズが目立ちません。ただし宅録では、部屋の外の音や部屋の反響のほうが先に問題になる場面が多く、このスペックだけで安心はできません。
最大入力音圧レベル144dB SPL — かなり大きな音まで音割れせずに録れるという数値です。人の声で音割れする心配はほぼなく、近くで大きな声を出しても余裕があります。
電源要件 48VDC・2mA — ファンタム電源に対応したオーディオインターフェイスかミキサーが必須ということです。対応していない機材につないでも、AT2020は音を拾いません。
重量345g・全長160mm — 見た目より軽くはない、しっかりした金属ボディです。スタンドやアームに固定して使う前提の重さで、手持ちで長時間使う用途には向きません。
バックエレクトレット方式。 振動板に電荷をあらかじめ蓄えておく方式で、外部から高い電圧を作る回路が要らないぶん、比較的シンプルな構造でコンデンサーマイクの感度を実現しています。1万円台という価格を成立させている技術的な理由のひとつです。
単一指向性の素直な特性。 マイクの正面を重視し、背面・側面の音を拾いにくくする設計です。特定の帯域を強調する味付けが薄いため、「まずコンデンサーマイクがどういう音か知りたい」という用途に向いています。
卓上スタンドではなくマイクアームでの運用が前提。 単体では自立するスタンドが付属しないため、マイクスタンドかアームが別途必要です。宅録の設置場所を先に決めてから買うと迷いません。
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|---|---|---|---|
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AT2020が唯一の正解ではありません。目的や環境が違えば答えも変わります。
| マイク | 種類 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58 | ダイナミック | 防音のない部屋で環境音を拾いたくない人。詳しくはコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いで解説しています |
| audio-technica AT2020USB+ | コンデンサー(USB接続) | オーディオインターフェイスを別途持たず、USBだけで完結させたい人 |
| RODE NT1系 | コンデンサー(上位帯) | ノイズをさらに抑えたい、予算を上げてでも質感を追いたい人 |
分かれ目は単純です。部屋の防音ができていないならSM58のようなダイナミックマイク、静かな環境があり癖のない基準機から始めたいならAT2020、USB接続で機材を減らしたいならAT2020USB+、という並びになります。
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