ライブハウスでも配信機材のレビューでも、ダイナミックマイクの話になるとほぼ必ず名前が挙がる機種があります。SHUREのSM58です。発売から60年近く経ついまも現行製品として売られ続けています。
長く使われ続けるマイクには理由があります。この機種の場合は3つです。
1. 電源が要らない。 SM58はダイナミック型のため、コンデンサーマイクのようなファンタム電源(48V)を必要としません。マイク入力さえあれば、どんなオーディオインターフェイスやミキサーでもすぐに音が出ます。
2. 周囲の音を拾いにくい。 単一指向性(カーディオイド)のため、マイクの正面以外の音を拾いにくい設計です。防音対策のない部屋で宅録・配信をする場合、この特性がそのまま録音のきれいさに直結します。
3. 情報と実績が桁違いに多い。 世界中のステージ・宅録環境で使われてきたマイクなので、マイク位置や声の距離感による音の変化について、公式・非公式を問わず参考にできる情報が豊富です。
比較の軸を先に決めます。ダイナミックマイクを選ぶときに効いてくる条件はそう多くありません。
SM58はこの3つを満たしたうえで、価格帯・入手性の面でも選びやすい位置にいます。
Shure公式のユーザーガイドに記載された数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイク方式 | ダイナミック型(ムービングコイル) |
| 指向性 | カーディオイド(単一指向性) |
| 周波数特性 | 50Hz〜15,000Hz |
| 出力インピーダンス | 300Ω |
| 感度 | -56.0dBV/Pa(1.6mV、1kHz時) |
| 重量 | 0.33kg |
| コネクタ | XLR(3ピン、オス) |
| 筐体 | エナメル塗装ダイキャスト+球状スチールメッシュグリル |
数字のままでは判断できないので、意味を訳します。
周波数特性 50Hz〜15,000Hz — 人の声の帯域をカバーしつつ、極端に高い帯域・低い帯域を切り落とした設計です。Shure公式は「ボーカル向けに調整した特性で、中域を持ち上げ低域をロールオフさせている」と説明しています。楽器の細かい倍音まで拾う設計ではなく、声を前に出すための特性です。
出力インピーダンス300Ω・感度-56.0dBV/Pa — コンデンサーマイクに比べると出力の小さいマイクだということです。オーディオインターフェイス側のゲインをしっかり上げて使う前提の数値で、ゲイン幅に余裕のある機材と組み合わせるほど扱いやすくなります。
重量0.33kg・エナメル塗装ダイキャスト筐体 — 金属の塊でできているということです。落としても踏まれても壊れにくい作りで、Shure公式も「過酷な使用にも耐える」と明記しています。スタンドに固定しっぱなしにする宅録より、手に持って動かすライブ・弾き語りでこの頑丈さが効いてきます。
近接効果(プロキシミティ効果) — 単一指向性マイクに共通する性質で、マイクに6mm程度まで近づけると100Hz以下の低域が6〜10dB持ち上がります。SM58はこの低域が急激に膨らみすぎないよう緩やかにロールオフする設計になっており、近づいて歌うほど声に厚みが出る一方で、破裂音のような不自然な低音の暴れは抑えられています。
内蔵ポップフィルター。 球状のメッシュグリル自体が風・吹かれ(ブレスノイズ)を抑えるフィルターを兼ねています。別売りのポップガードを用意しなくても、ある程度の吹かれ対策ができている状態で使い始められます。
空気式ショックマウント。 マイク内部の振動板を機械的な振動から切り離す機構が内蔵されています。マイクスタンドを軽くぶつけたり、ケーブルを引っ張ったりしたときのガサガサという音が録音に乗りにくくなります。
マイクグリル・カートリッジが交換部品として単体販売されている。 グリルの変形やカートリッジの劣化があっても、マイク本体を買い替えずに部品交換で対応できます。長く使う前提の設計であることが、部品供給の面からも分かります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥15,950 | 2026.08.25 取得時点の実売価格(国内正規品) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「SHURE SM58-LCE」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | 未掲載 | 取り扱いあり。価格はリンク提携後に掲載します | — |
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SM58が唯一の正解ではありません。目的や環境が違えば答えも変わります。
| マイク | 種類 | 向いている人 |
|---|---|---|
| audio-technica AT2020 | コンデンサー | 静かな部屋があり、声の繊細な質感まで録りたい人。詳しくはコンデンサーマイクとダイナミックマイクの違いで解説しています |
| SHURE SM58SE | ダイナミック(スイッチ付) | 配信中にマイクのオン/オフを手元で切り替えたい人 |
| audio-technica ATR2100x-USB系 | ダイナミック(USB接続) | オーディオインターフェイスを別途持たず、USBだけで完結させたい人 |
分かれ目は単純です。防音のない部屋で環境音を拾いたくないならSM58、静かな環境で声の質感まで作り込みたいならAT2020のようなコンデンサーマイク、という並びになります。SM58SEのようなオン/オフスイッチ付きモデルは、配信の合間に咳払いの音を拾わせたくない場面で選ぶ理由になります。
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