ダイナミックマイクを選ぶとき、多くの人がまずSHURE SM58を思い浮かべます。sE ElectronicsのV7は、そのSM58と同じ体格・同じXLR接続でありながら、周波数特性がもう少し広く、コンデンサーマイクに近い伸びやかな高域を持つ1本です。
選ぶ理由は3つです。
1. 周波数特性が40Hz〜19kHzと広い。 一般的なハンドヘルドダイナミックマイクは上限が15kHz前後に収まることが多く、V7の19kHzという上限は珍しい部類です。高域の伸びは「空気感」や「抜け」として現れ、ダイナミックマイクにありがちなこもった印象を軽減します。
2. スーパーカーディオイドで不要な音を拒否する。 一般的なカーディオイドより指向性が狭く、正面以外の音を強く拒否します。ライブハウスのモニタースピーカーやドラムの被りを避けたい場面、あるいは宅録で複数の楽器を同時に鳴らして一発録りしたい場面で、このマイクだけを狙って拾えます。
3. SM58と同等の体格。 直径54mm・全長184mm・重量305gは、SM58とほぼ同じ握り心地です。ライブでの持ち替えや、既存のマイクスタンド・ホルダーとの相性で困りません。
比較の軸を先に決めます。
V7はこの3つのうち、高域の伸びと指向性の狭さを積極的に選ぶ人向けの機種です。
sE Electronics公式製品ページの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カプセル | ダイナミック(DMC7ダイナミックカプセル) |
| 指向性 | スーパーカーディオイド |
| 周波数特性 | 40Hz〜19kHz |
| インピーダンス | 300Ω |
| 感度 | 2.0mV/Pa(-54dB) |
| マグネット | ネオジム |
| ボイスコイル | アルミニウム |
| 直径 | 54mm |
| 全長 | 184mm |
| 重量 | 305g |
| 接続端子 | 3ピンXLR(オス) |
| 付属品 | マイク本体、マイククリップ、スレッドアダプター、内蔵ウィンドスクリーン、キャリングポーチ |
| 最大SPL | 公式ページに記載なし(未確認) |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目だけ訳します。
周波数特性40Hz〜19kHz — 上限の19kHzは、可聴域の上限(20kHz)にかなり近い数値です。人の耳で明確に聞き分けられるかは別として、上限が高いマイクほど「詰まった」印象になりにくく、コンデンサーマイクに近い開放感が出やすくなります。
指向性スーパーカーディオイド — カーディオイドより正面方向への感度を絞り込み、真後ろよりもやや斜め後方の感度が最も低くなる指向特性です。ライブのモニタースピーカーやハウリングの原因になりやすい方向を避けて設置すると、ハウリングマージンを稼ぎやすくなります。反面、マイクの正面から外れて歌うと音量・音質の変化が大きく出ます。
ボイスコイルがアルミニウム — 一般的なダイナミックマイクは銅のボイスコイルを使いますが、V7はアルミニウムです。アルミは銅よりも軽く、振動板の動きに追従しやすいため、ダイナミックマイクとしては細かい音のニュアンスを拾いやすい設計になっています。
感度2.0mV/Pa — ダイナミックマイクとして標準的な出力です。コンデンサーマイクほど感度は高くないため、オーディオインターフェイスやミキサー側でしっかりゲインを確保する前提になります。
V7にはカラーバリエーション(Black・White・Red・Chrome)のほか、機能を変えた派生モデルがあります。V7 MC2はマイクロホンカプセル部分の交換用パーツ、V7 Switchは本体にオン・オフスイッチを追加したモデル、V7 Xは楽器用にチューニングしたモデルです。価格も本体のV7とは異なるため、購入時は型番末尾まで確認してください。この記事で扱う「V7」は末尾に何も付かない標準モデルです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥16,500 | 2026.09.05 取得時点の実売価格(V7 Black) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「sE Electronics V7」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「sE Electronics V7」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。同じ検索結果には、色違い(White・Red・Chrome)や派生モデル(MC2・Switch・X)が混ざります。価格が異なる場合があるため、購入時は型番表記を確認してください。
V7が唯一の正解ではありません。用途によって答えは変わります。
| マイク | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58 | ¥16,830 | 指向性の広さ(カーディオイド)を優先し、動きながら歌うスタイルの人。詳しくはSHURE SM58の単体レビューで解説しています |
| SHURE Beta 58A | ¥25,080 | SM58の使用感を保ちつつ、スーパーカーディオイドで被りにも対応したい人。詳しくはSHURE Beta 58Aの単体レビューで解説しています |
| SHURE PGA58 | ¥10,780最安 | とにかく価格を抑えて始めたい人。詳しくはSHURE PGA58の単体レビューで解説しています |
(価格はいずれも2026.09.05時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は指向性と価格です。動きながら歌う前提ならSM58、価格を最優先するならPGA58、スーパーカーディオイドで被りを抑えつつ高域の伸びも欲しいならV7、Beta 58Aと迷う場合はブランドの使用実績を優先するかV7の高域特性を優先するかで選ぶ、という並びになります。
Gearspaceに掲載された長文レビューでは、V7の音質評価を5点満点中5点としており、SM58や同社のV3と並べた比較録音でも「スーパーカーディオイドのおかげで部屋の響きを拾いにくく、他の2本より歯擦音の処理が上手い」と評価しています。同レビューは、ダイナミックマイクとしては珍しくコンデンサーマイクに近い中立的な音の質感を持ち、ミックスに馴染みやすい点も評価しています。Podcastageのレビューも、高域の伸びと6kHz付近のカット処理でボーカルの歯擦音を抑えている点を紹介しています。
一方で、同じGearspaceレビューは「使いやすさ」を5点満点中4点に下げており、理由としてスーパーカーディオイドという指向性の狭さを挙げています。マイクの正面から外れて歌う初心者には扱いにくく、位置取りに一定の慣れが必要だという指摘です。同じ掲示板の別スレッドでは、この系統の指向性を持つマイク全般の傾向として近接効果が強く出やすい点も注意点として挙げられており、距離やローカットの調整が必要になる場面があるという声もあります。
実務的には、マイクの位置を固定して使う宅録や一発録りには相性が良く、動きながら歌うライブのボーカルには、位置取りへの意識が必要になります。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.09.05時点)。
評判の参照元: