2 in / 2 outのオーディオインターフェイスは、7千円台から3万円台まで価格の幅が広い分野です。M-Track Duo HDは、その中でも最安クラスに位置しながら、XLRコンボ入力とある程度のゲイン幅を残した機種です。
選ぶ理由は3つです。
1. Crystalプリアンプのゲイン幅。 マイク入力(Direct Mono)は0dBから+54dBまでのゲイン範囲を持ちます。最安クラスの機種としては、出力の小さいマイクにもある程度対応できる余裕です。
2. 24bit/192kHzとUSB-C。 解像度・接続方式とも、上位機種と同じ水準です。旧モデルの「M-Track Duo」(HDなしの型番、USB-A・24bit/96kHz)からの世代交代で刷新された部分です。
3. 2 in / 2 outで同時録音に対応。 歌とギターを同時に録る、2本のマイクを同時に立てるといった用途に、最小限ながら対応します。
一方で、本体は「メタルトッププレート+樹脂ボディ」という構成で、同価格帯のFocusrite Scarlett 2i2やAudient iD4のような金属筐体ではありません。レベル確認も、数値やバーではなく、クリップ時に赤く点灯する小さなLED1個に頼ります。価格を抑えるためにどこを削っているかを踏まえたうえで選ぶ機種です。
最安クラスのオーディオインターフェイスを選ぶときは、削られている部分を先に確認しておくと失敗しません。
XLR入力とゲイン幅を残しつつ予算を切り詰めたい人は、この時点でM-Track Duo HDが候補に残ります。
M-Audio公式製品ページの「Technical Specifications」に記載された数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力 | マイク/ライン/楽器コンボ入力2(バランスXLR/アンバランス1/4"TS)、メインアウト2(バランス1/4"TRS)、ヘッドホン出力1(1/4"TRS) |
| サンプルレート/ビット深度 | 最大192kHz/24bit |
| マイク入力ゲイン | Direct Mono: 0dB〜+54dB、Direct Stereo: 6dB〜+60dB |
| マイク入力S/N比 | 109dB(A加重) |
| マイク入力プリアンプEIN | -128dBu(最大ゲイン、A加重) |
| ライン入力ゲイン | Direct Mono: -10dB〜+44dB |
| 楽器入力インピーダンス | 1MΩ |
| ヘッドホン出力 | 60mW/ch(32Ω) |
| 接続・電源 | USB-C・バスパワー |
| サイズ・重量 | 191×111×55mm・0.36kg |
| ファントム電源 | +48V(切り替え可能) |
マイク入力ゲイン0〜+54dB — 「小さい声で歌っても、音量が足りなくならない余裕」を示す数値です。同価格帯のミニジャック入力機種と比べると、コンデンサーマイクを使う前提の設計になっています。
プリアンプEIN -128dBu — マイク入力自体が生み出すノイズの少なさを示す数値です。数字がマイナス側に大きいほど、機材自体の「サー」というノイズが目立ちません。この価格帯としては十分な水準です。
重量0.36kg・サイズ191×111×55mm — 同価格帯の中でも軽量・コンパクトな部類です。USBバスパワーのみで動作するため、電源アダプターを別途持ち歩く必要もありません。
筐体はメタルトッププレート+樹脂ボディ。 天面のみ金属で、それ以外は樹脂主体の構成です。Scarlett 2i2やAudient iD4のような全金属筐体に比べると、長期の耐久性では見劣りする可能性があります。日常的に持ち運ぶ用途より、机に据え置く使い方に向きます。
レベル確認はLED1個。 信号の有無とクリップ(音割れ)を、1つのLEDの色で示す方式です。MOTU M2のような数値表示のメーターはなく、大まかな目安として使うことになります。ゲインを合わせる際は、DAW側のメーターも併用するのが実務的です。
ノブは凹み配置。 本体にすっきり収まる代わりに、ノブ周辺にほこりが溜まりやすい構造になっています。見た目の統一感と引き換えの設計です。
このほか、+48Vファントム電源の切り替え、ゼロレイテンシーのダイレクトモニタリングを備えています。Ableton Live LiteやMPC Beatsなどを含むソフトウェアバンドルが付属し、価格を抑えたぶんを補う位置づけです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥8,797 | 2026.10.12 取得時点の実売価格(島村楽器ほか、愛曲楽器・さくら山楽器・ミュージックハウスフレンズなど複数の楽器専門店で同額) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0694318026670 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「M-Audio M-Track Duo HD」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
同じ商品名で、専門店とは無関係な出品者から8,000円台の出品も一部見つかりますが、同一の商品説明文で価格だけが¥8,582〜¥33,760までばらついており、在庫や正規流通の実態が確認できないため採用していません。楽器専門店5店舗が同額で揃っている¥13,800を実売価格として掲載しています。ヘッドホンとコンデンサーマイクが付属する「Producer Pack」(¥24,800)という上位バンドルも別売りされています。価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| BEHRINGER UM2 | ¥7,150最安 | とにかく安く、まず録れる状態を作りたい人 |
| YAMAHA AG03MK2 | ¥25,100 | 録音より配信を主目的にしたい人。詳しくはAG03MK2の記事で解説しています |
| Focusrite Scarlett 2i2 (4th Gen) | ¥28,600 | 金属筐体とAuto Gainなど、レベル合わせの自動化を優先したい人。詳しくは単体レビューで解説しています |
(UM2・Scarlett 2i2の価格は各記事掲載時点、AG03MK2は2026.09.22時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は単純です。予算を最優先し、XLR入力すら不要ならUM2。配信機能が要るならAG03MK2。筐体の作りとレベル合わせの自動化に価値を感じるならScarlett 2i2。XLR入力とある程度のゲイン幅を残しつつ、価格を1万円台前半に収めたいという条件だけならM-Track Duo HDに分があります。
M-Track Duo HDは2025年発売の新しい機種のため、レビューの蓄積はまだ多くありません。確認できた海外メディアのレビュー(いずれもマイク・ヘッドホン同梱の上位版Producer Packを対象にしたものですが、インターフェイス本体への言及部分を参照しています)では、操作面への評価が比較的そろっています。MusicRadarのレビューは、ノブの固定感やボタンのクリック感を評価したうえで、録音したギターの音質は手元のより高価なUAのインターフェイスと大きな違いを感じないとし、この価格帯では機材自体の差がほとんど出ないと結論づけています。SoundGuysのレビューも、天面の金属プレートとUSB-C接続、XLR/TRSコンボ入力とファントム電源を初心者にとって実用的だと評価しています。
一方で、両レビューとも本体の作りについては厳しい評価をしています。MusicRadarは全体としてやや安っぽい印象があるとし、Scarlett 2i2やAudient iD4と比べた耐久性への不安を挙げています。SoundGuysも、金属パネルは前面のみで本体はほぼ樹脂製であり、コストを抑えるための設計だと指摘しています。レベル確認の手段についても両レビューが共通して弱点として挙げており、クリップ時に赤く点灯する小さな白色LED1個だけでは段階的にゲインを把握しづらいという指摘があります。
このモデルは楽天のレビューが1件・平均1.0です(取得日2026.09.22)。件数が少なく、この1件だけで傾向を判断できる水準ではありません。実務的には、プリアンプの音質そのものへの不満は見当たらず、不満は主に筐体の質感とレベル確認の簡素さに向いています。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.10.12時点)。
評判の参照元: