ボーカル用ダイナミックマイクを調べると、SHURE SM58が真っ先に候補に挙がります。AUDIXのOM5は、そのSM58からの乗り換え先として名前が挙がることが多いマイクです。同じAUDIXの楽器用ダイナミックマイクi5とは設計の狙いが異なり、OM5はボーカル専用に作られています。
選ばれる理由は3つです。
1. オフアクシス除去が30dB超と高い。 AUDIX公式仕様書によると、ハイパーカーディオイド(超単一指向性)の指向性で、正面以外から届く音を30dB以上減衰させます。ステージでモニタースピーカーからの回り込みを拾いにくく、ハウリングが起きにくい構成です。
2. 最大SPLが144dB以上。 PAの音量が大きいステージや、口元に近づけて大声で歌う場面でも歪みにくい耐性があります。
3. 120Hz付近を自然に減衰させる設計。 AUDIX公式サイトによると、この特性によって低域の「こもり」やハンドリングノイズを抑え、中域にプレゼンスを持たせているとされています。
比較の軸を先に決めます。
AUDIX公式の仕様書(スペックシート)に記載された数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイク方式 | ダイナミック型 |
| 指向性 | ハイパーカーディオイド(超単一指向性) |
| 周波数特性 | 48Hz〜19,000Hz |
| 出力インピーダンス | 200Ω |
| 感度 | 2mV/Pa(1kHz時) |
| カプセル | VLM(Very Low Mass)ダイアフラム、VLM Type C |
| オフアクシス除去 | 30dB超 |
| 最大SPL | 144dB以上 |
| 重量 | 330g |
| 全長 | 176mm |
| コネクタ | XLR(3ピン、オス) |
| 材質・仕上げ | 亜鉛合金・ブラック仕上げ |
| 電源 | 不要 |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
オフアクシス除去30dB超 — マイクの正面以外から届く音をどれだけ減衰させるかを示す数値です。この数字が大きいほど、モニタースピーカーやステージ上の他の音源からの回り込みを拾いにくく、ハウリングが起きにくくなります。
感度2mV/Pa — SHURE SM58(-54.5dBV/Pa≒約1.85mV/Pa)とほぼ同水準です。オーディオインターフェイスやミキサー側で必要なゲイン量に大きな差はありません。
VLM(Very Low Mass)ダイアフラム・VLM Type C — 振動板を極めて軽く作ることで、音の動きに素早く追従させる設計です。AUDIX公式は自然な音の再現と正確なトランジェント再現につながる技術だとしています。
同じAUDIXのダイナミックマイクでも、i5とOM5は設計の狙いが異なります。
用途が違う。 i5は楽器の近接収音向け、OM5はボーカル向けに作られています。i5はクリップで機材に固定して使う場面が多い一方、OM5は手に持って歌うハンドヘルド型です。
指向性が違う。 OM5はハイパーカーディオイド、i5はカーディオイドです。OM5のほうが正面以外の音を拾いにくく、ステージでのハウリング耐性を重視した指向性になっています。
周波数特性・最大SPLが違う。 OM5は48Hz〜19kHz・最大SPL144dB以上、i5は50Hz〜16kHz・最大SPL140dB以上です。OM5のほうがわずかに帯域が広く、耐音圧も高い数値です。
サイズが違う。 OM5は330g・176mmのハンドヘルド型、i5は248g・141mmとひとまわり小さい構成です。i5は機材への設置を想定したコンパクトさ、OM5は手に持って歌うための握りやすさを優先した作りです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥27,500 | 2026.10.19 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0687471101087 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「AUDIX OM5」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
OM5が唯一の正解ではありません。用途や予算が違えば答えも変わります。
| マイク | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58-LCE | ¥15,950 | 業界標準としての実績と入手性を優先したい人。詳しくは単体レビュー |
| SENNHEISER e835 | ¥11,880最安 | 予算を抑えてボーカル用ダイナミックを揃えたい人。詳しくは単体レビュー |
| audio-technica AT2005USB | ¥21,978 | XLRとUSBの両対応で、配信や宅録にも使い回したい人。詳しくは単体レビュー |
(SHURE SM58-LCEは2026.09.14、SENNHEISER e835は2026.09.07、audio-technica AT2005USBは2026.09.23時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「ハウリング耐性」と「予算」です。業界標準の実績を取るならSM58、予算重視ならe835、USB接続の汎用性を取るならAT2005USB、ステージでのハウリング耐性を重視するならOM5、という並びになります。
Sound on Soundのレビューは、OM5の音について、中高域がすっきり前に出る一方で角が立ちすぎず、耳に痛くならないバランスだと評価し、ハイパーカーディオイドによるオフアクシス除去がステージでのハウリング耐性に直結していると分析しています。最も自然なトーンバランスが得られる距離はマイクから2〜3インチ程度としつつ、至近距離で使うとポップノイズが出やすい傾向があるとも指摘しています。
Gearspaceのフォーラムには、SHURE SM58やBeta58からOM5に乗り換えたという投稿が複数あり、オフアクシスの除去性能が明確に優れている、より滑らかな音に感じるという評価が見られます。ハウリングが起きるまでに稼げる音量の余裕を広げることがOM5シリーズの主眼だとする投稿もあり、指向性の設計そのものがハウリング対策として作られている点を裏付けています。一方でSM58より出力が低くタイトな指向性のため、口元に近づけて歌う使い方が前提になるという指摘、低域の量感がSM58ほど出ないため深みのある声には合わないという声もあります。ミキシングエンジニアからは、58よりチャンネルEQでの調整が必要になる場合があるという声も見られます。
複数のソースで一致しているのは、ハウリング耐性の高さと、それと引き換えに近接での使用が前提になるという点です。実務的には、PAの音量が大きいステージ用途で選ばれやすいマイクです。
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評判の参照元: