コンデンサーマイクの多くは、指向性が単一指向性(カーディオイド)に固定されています。AKGのP420は、この価格帯では珍しく指向性を切り替えられる大型ダイアフラムのコンデンサーマイクです。
選ばれる理由は3つです。
1. 3つの指向性を切り替えられる。 カーディオイド(単一指向性)・オムニ(無指向性)・フィギュア8(双指向性)を本体のスイッチで切り替えられます。録りたい音源や部屋の状況に応じて、1本で対応範囲を広げられます。
2. -20dBパッドで大きな音源にも対応。 減衰パッドをオンにすると、キックドラムやギターアンプのような音圧の高い音源でも音割れしにくくなります。
3. 300Hzのローカットフィルターを内蔵。 本体のスイッチで低音域を減衰させ、部屋の低い環境音やマイクスタンド越しの振動を録音時点で抑えられます。
比較の軸を先に決めます。指向性を切り替えられるマイクを検討するときに効いてくる条件です。
AKG公式サイトの記載に基づいて並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイクタイプ | 大型ダイアフラム・デュアルカプセル・コンデンサーマイク |
| 指向性 | カーディオイド・オムニ・フィギュア8(切替式) |
| 周波数特性 | 20Hz〜20,000Hz |
| 感度 | 28mV/Pa |
| 最大SPL | 155dB(20dB減衰パッド使用時) |
| S/N比 | 79dB-A |
| 等価ノイズレベル(自己ノイズ) | 15dB-A |
| インピーダンス | 200Ω以下(推奨負荷インピーダンス1,000Ω以上) |
| ローカットフィルター | 300Hz(-12dB/オクターブ) |
| 必要電源 | 44〜52V DC(ファンタム電源) |
| サイズ・重量 | 長さ165mm・直径54mm・517g |
| 出力 | XLR(3ピン)バランス出力 |
指向性の切り替えは、このマイクの中心的な特徴です。カーディオイドは正面の音を中心に拾う一般的な設定、オムニは周囲すべての音を均等に拾う設定で、複数人が輪になって話す収録や部屋の響きごと録りたい場面に向きます。フィギュア8は正面と背面の音を拾い、左右の音を拾いにくい特性です。対面で向き合って話す2人の収録などで使われます。
最大SPL155dB(パッド使用時)は、AKG C214の156dB(同条件)とほぼ同水準です。キックドラムやギターアンプの至近距離のような大音量の音源にも対応できる余裕があります。
S/N比79dB-A・自己ノイズ15dB-Aは、マイク自体が発するノイズの少なさを示す数値です。静かな環境でアコースティック楽器やアカペラを録るときほど、この数字の差が聞き取りやすくなります。
AKGのコンデンサーマイクを検討すると、同社のC214とどちらを選ぶか迷う場面が出てきます。両者の違いは指向性です。
| 項目 | P420 | C214 |
|---|---|---|
| 指向性 | カーディオイド・オムニ・フィギュア8(切替式) | カーディオイド(固定) |
| 最大SPL(パッド時) | 155dB | 156dB |
| S/N比 | 79dB-A | 81dB-A |
| 自己ノイズ | 15dB-A | 13dB-A |
| ローカット | 300Hz | 160Hz |
C214は指向性を切り替えられない代わりに、自己ノイズがP420よりわずかに少なく、S/N比もわずかに高い数値です。静かな部屋でボーカルやアコースティック楽器を1本のマイクで録ることに用途を絞るなら、C214のノイズ性能がわずかに有利です。
逆に、複数人の収録や部屋の響きを生かした録音、対面のインタビューなど、指向性そのものを変える必要がある用途では、P420でなければ対応できません。「1人のボーカル用に音質を詰める」か「用途に応じて指向性を変える」かが、2本の分かれ目です。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥26,800 | 2026.09.19 取得時点の実売価格(Hibino.com公式ストア) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「AKG P420」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「AKG P420」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
P420が唯一の正解ではありません。指向性の必要性や電源環境が違えば答えも変わります。
| 機種 | 税込・確認日 | 向いている人 |
|---|---|---|
| AKG C214 | ¥49,326(2026.09.14時点) | 指向性の切り替えより、静かな環境でのノイズ性能を優先したい人。詳しくはAKG C214の単体レビューで解説しています |
| audio-technica AT2020 | ¥13,200(2026.09.07時点)最安 | まずXLRのコンデンサーマイクを1本安く試したい人。詳しくはaudio-technica AT2020の単体レビューで解説しています |
| RODE NT1 5th Generation | ¥44,000(2026.08.26時点) | XLRだけでなくUSB接続の選択肢も残しておきたい人。詳しくはRODE NT1 5th Generationの単体レビューで解説しています |
分かれ目は単純です。指向性を変える必要があるならP420、ノイズ性能を優先するならC214、まず安く試すならAT2020、USB接続の余地も残すならNT1 5th Generation、という並びになります。
AKG P420は、この価格帯なら外れの少ない選択だという評価でGearspaceのユーザーレビューがおおむね一致しています。大型のデュアルカプセル構成で単一指向性・無指向性・双指向性を切り替えられる点と、前モデルからの改良点である-20dBパッド、低域から中域にかけてのフラットな特性が評価されており、10kHz付近にわずかな持ち上がりはあるものの不快な癖ではないという評価です。Tape Op誌のレビューでも、アコースティックギターやボーカルの収録で実用に足る音質と、金属製の頑丈な筐体・付属ショックマウントの品質を評価する一方、Neumann U87やAKG C414のような上位機種とは別クラスの製品であるとも明記しています。
不満点として挙がるのはハードウェア面が中心です。付属ショックマウントの取り付け機構がSHUREのような他社製品に比べてやや扱いにくいという指摘が複数あります。また海外レビューでは本体重量が530g前後とやや重く、細いマイクスタンドやブームアームに取り付けると重心が崩れてマイクごと傾く場合があると指摘されています。音質そのものへの否定的な評価は目立たず、価格帯を考慮したうえでの完成度の高さという評価が中心です。
実務的には、ショックマウントの装着はマニュアルの手順どおりに落ち着いて行うこと、軽量なスタンドで使う場合はブームの角度に注意することが、不満点を避ける最初の一手になります。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.09.19時点)。alternatives表の価格は各機種の直近取得日を併記しています。
評判の参照元: