YAMAHAのモニタースピーカーを調べると、定番として名前が挙がるのはHS5です。ただし奥行き222mmというサイズは、デスクによっては窮屈です。かといって一回り小さいHS3は、低域の下限が-10dBで70Hzまでしかなく、キックやベースの土台まで確認するには物足りません。
HS4は、この間を埋めるために2023年11月に追加されたモデルです(YAMAHA公式ニュースリリースは2023年11月15日付)。
選ばれる理由は3つです。
1. 低域の下限がHS3より広い。 -10dB基準でHS3の70HzからHS4は60Hzまで伸びています。数字としては10Hz分ですが、キックドラムの芯の周波数帯に近づく分だけ、低域の見通しが利きやすくなります。
2. HS5よりひとまわり小さい外形寸法。 幅150×高さ240×奥行き213(L)/203(R)mmは、HS5の幅170×高さ285×奥行き222mmより小さく、HS3の幅132×高さ223×奥行き189(L)/177(R)mmよりは余裕があります。ちょうど中間のサイズです。
3. HSシリーズ共通の「素の音を出す」思想はそのまま。 小型化しても、加工せず録った音をそのまま聞くという方向性は変わりません。
HS4は「置き場所に多少の制約はあるが、HS3では低域が足りないと感じる」人に向いた選択です。
すべてYAMAHA公式ページの記載です。HS3・HS5との違いが分かるように並べます。
| 項目 | HS3 | HS4 | HS5 |
|---|---|---|---|
| ユニット構成 | 3.5インチ+0.75インチ | 4.5インチ+1インチ | 5インチ+1インチ |
| 再生周波数帯域(-10dB) | 70Hz-22kHz | 60Hz-22kHz | 54Hz-30kHz |
| 最大音圧レベル(1m) | 100dB SPL | 102dB SPL | 公式ページに記載なし(未確認) |
| アンプ出力 | 26W+26W | 26W+26W | LF45W+HF25W(バイアンプ計70W) |
| 外形寸法(幅×高さ×奥行き) | 132×223×189(L)/177(R)mm | 150×240×213(L)/203(R)mm | 170×285×222mm |
| 質量 | 2.8kg(L)/2.1kg(R) | 3.7kg(L)/3.1kg(R) | 5.3kg |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
再生周波数帯域 60Hz〜(-10dB) — HS3の70Hzより低い帯域まで再現できます。ただしHS5の54Hzにはまだ届かないため、サブベースのような超低域まで見極めたい作業では、HS4でも別のリファレンスで補う場面が出てきます。
外形寸法 幅150×奥行き213mm — HS5よりコンパクトで、HS3よりゆとりがあります。ノートパソコンの左右にモニターを置くようなデスクでも、HS5より収まりやすいサイズです。
最大音圧レベル102dB — HS3の100dBよりわずかに高い数値です。宅録・自宅DTMで問題になる音量域を上回っており、この項目で不足を感じる場面はほぼありません。なおHS5については、公式ページに最大音圧レベルの記載がなく断定できないため、ここでは比較していません。
アンプ出力 26W+26W — HS3と同じ出力です。HS5のバイアンプ構成(低域用・高域用を別アンプで駆動)とは異なり、HS3・HS4は1つのアンプ回路で2本のスピーカーを駆動するマスター・スレーブ方式を採っています。電源ケーブルが1本で済む配線の簡潔さと引き換えに、大音量時の余裕はHS5にやや譲ります。
背面にはHS3と共通のROOM CONTROL(低域の量を調整)とHIGH TRIM(高域の量を調整)のスイッチがあり、壁際に置いたときに強調されがちな低域を抑えるといった、設置環境に応じた微調整ができます。
HS4は、今回確認した新品流通がすべてペア(2本1組)での販売でした。単体(1本)売りの新品在庫は見当たりません。
| 販売形態 | ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|---|
| ペア(2本) | 楽天市場 | ¥33,800 | 2026.08.30 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| — | Amazon | リンク先で確認 | JAN 4957812689922 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| — | サウンドハウス | リンク先で確認 | 「YAMAHA HS4」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
単体(1本)での購入を探している場合は、店舗に在庫を直接問い合わせる必要があります。価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
HS4が唯一の正解ではありません。同じHSシリーズの兄弟機や、価格帯の異なる選択肢と比べてみます。
| 機種 | 税込(ペア) | 向いている人 |
|---|---|---|
| YAMAHA HS3 | ¥29,400最安 | 置き場所の制約が最優先で、低域の物足りなさは別途補える人。詳しくは単体レビュー |
| YAMAHA HS5 | ¥34,000 | デスクに奥行きの余裕があり、低域の見通しを最優先したい人。詳しくは単体レビュー |
| IK Multimedia iLoud Micro Monitor | ¥37,400 | 予算を上げてでもDSPによる補正やBluetoothを使いたい人 |
(HS3・HS5・iLoud Micro Monitorの価格はいずれも2026.08.25〜31時点の楽天市場での実売価格)
価格差だけを見るとHS3が安く見えますが、HS4はHS3より低域の下限を10Hz広げている点が違います。HS5とはほぼ同価格帯ですが、置き場所に制約があるならHS4、余裕があるならHS5という住み分けです。DSP補正やワイヤレス機能まで欲しいなら、価格は上がりますがiLoud Micro Monitorが候補になります。
YAMAHA HS4は、Home DJ StudioやSound & Signalなど複数の海外レビューで、色付けの少ないバランスの取れた鳴り方だと評価されています。正確さを優先した音像だという見方でも一致しており、HS5・HS7に続くYAMAHAらしい音作りだと受け止められています。4.5インチウーファーについても、このサイズとしては低域が引き締まっているという評価が目立ちます。HiFiReportのレビューも、小型スピーカーから想像するより力強い鳴り方だとしています。
一方で、不満点も複数指摘されています。Sound & Signalは、小型ウーファーではサブベース帯域までは再現できないと明記しており、低域の下限に限界があるとしています。Home DJ Studioは、同クラスの競合機種と比べて価格がやや高めである点と、このターゲット層であればBluetooth接続に対応していてもおかしくないのに非搭載である点を欠点として挙げています。Sound & Signalも同様にBluetooth非対応を指摘したうえで、背面バスレフポートの設計上、壁際に置くと低域が膨らみやすいため設置場所への配慮が要るとしています(この点はYAMAHA公式のROOM CONTROLスイッチで補正する前提の設計です)。
実務的には、ニュートラルな音の傾向自体への不満は少なく、価格・Bluetooth非搭載・設置場所の3点が判断の分かれ目になりそうです。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は各表に記載しています。
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