コンデンサーマイクを選ぶとき、多くの入門機はカーディオイド専用です。声や楽器を1方向から録る用途では困りませんが、部屋の響きごと録りたい、2つの音源を同時に録りたい、といった場面には対応できません。Warm Audio WA-47jrは、この制約を切り離したマイクです。
選ばれる理由は3つです。
1. 指向性を3パターン切り替えられる。 カーディオイド(前方重視)・無指向性(全方位)・双指向性(前後2方向)を、本体のスイッチひとつで選べます。用途ごとにマイクを買い替える必要がありません。
2. ビンテージ47系マイクと同じ設計のカプセルを積む。 K47スタイルのデュアルバックプレート・大型ダイアフラムカプセルは、往年の「47」マイクと同じ孔配置・周波数特性で作られています。真空管を使わないFET回路で、手が届く価格に抑えています。
3. -10dBパッドと70Hzハイパスフィルターを内蔵する。 大音量の楽器や近接マイキングでは-10dBパッドが歪みを防ぎ、70Hzハイパスフィルターは録音前に低域の被りやカブりを減らします。
比較の軸を先に決めます。指向性切り替え型のコンデンサーマイクに求められる条件は、実はそう多くありません。
WA-47jrはこの3つのうち、「指向性の切り替え」「48Vファンタム対応」「-10dBパッドによる高音圧対応」という組み合わせをそろえた機種です。
数値はすべてWarm Audio公式サイト・公式ユーザーマニュアルの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイクタイプ | ラージダイアフラムFETトランスフォーマーレス・コンデンサーマイク |
| 指向性 | カーディオイド・無指向性・双指向性(切り替え式) |
| カプセル | K47スタイル・デュアルバックプレート・ゴールドスパッタリング仕上げ |
| 周波数特性 | 20Hz~20kHz |
| セルフノイズ | 9dBA |
| ダイナミックレンジ | 138dBA |
| 最大SPL | 147dB(パッドなし)/157dB(-10dBパッド使用時) |
| 感度 | 10mV/Pa(-40dB) |
| 出力インピーダンス | 100Ω |
| 電源 | 48Vファンタム電源必須 |
| 出力端子 | XLR(バランス3ピン、ゴールドコンタクト) |
| 付属品 | ショックマウント、ハードマウント、レザー収納ポーチ |
数字のままでは判断しづらい項目を訳します。
最大SPL 147dB/157dB(パッド使用時) — 「歪まずに録れる音の大きさの上限」のことです。147dBの時点ですでにドラムの近接マイキングにも十分な余裕があり、-10dBパッドを使えばさらに大きな音圧の楽器にも対応できます。
セルフノイズ9dBA — マイク自体が生み出すノイズの小ささです。数字が小さいほど、静かな音源を録ったときにマイクのノイズが目立ちません。同価格帯のFETコンデンサーマイクとしては十分に低い水準です。
指向性3パターン — カーディオイドは前方の音を中心に拾い、側面や背面のノイズを抑えます。無指向性はあらゆる方向から均等に音を拾うため、部屋の響きごと録りたいときに向きます。双指向性は前後2方向を拾い、側面を強く抑えるため、2つの音源を1本で同時に録るミッドサイド的な使い方に対応できます。
70Hzハイパスフィルター — 70Hz以下の低域をあらかじめ除去するスイッチです。ボーカルやアコースティックギターを多重録音する曲では、この帯域がキックやベースと帯域を奪い合うため、録音の時点で削っておくとミックスが楽になります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥44,693 | 2026.10.12 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「Warm Audio WA-47jr」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Warm Audio WA-47jr」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
WA-47jrが唯一の選択肢ではありません。優先したい音の傾向が違えば答えも変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| AKG C214 | ¥46,860 | 指向性切り替えは不要で、価格を抑えたい人 |
| RODE NT1 5th Generation | ¥44,000最安 | セルフノイズの低さを最優先したい人 |
| NEUMANN TLM 102 | ¥112,860 | 定番ブランドの音を予算より優先したい人 |
分かれ目は単純です。指向性を切り替えて使い方の幅を広げたいならWA-47jr、カーディオイド専用でよいので価格を抑えたいならAKG C214やRODE NT1、予算よりブランドと定評を優先するならNEUMANN TLM 102という並びになります。
価格差で見ると、WA-47jrはAKG C214やRODE NT1より2〜3万円高い代わりに指向性の選択肢を得られ、NEUMANN TLM 102より4万円以上安い代わりにブランドの実績値を手放す、という中間の立ち位置です。
WA-47jrは、真空管モデルWA-47の廉価版という立ち位置から、海外メディアのレビューでも比較対象として扱われることが多いマイクです。MusicTechのレビューは、3種類の指向性を切り替えられる点について、同価格帯の多くの機種より用途の幅が広いと評価し、上位機のWA-47にはない-10dBパッドとハイパスフィルターを備える実用性、そして1本で複数の録り方に対応できる価格対効果を評価しています。
一方で、真空管モデルのWA-47と聴き比べた際の評価は厳しめです。同レビューは、切り替えた瞬間に物足りなさを感じたと述べ、FET版には真空管モデルにあるような聴いた瞬間の押し出しの強さがないと指摘しています。具体的には、ボーカルでやや鼻づまり気味の中高域が出ることと、WA-47の特徴である豊かな低域がほとんど感じられないことを挙げ、目指していたはずのFET版U47的な音の再現としても低域の厚みが足りないとしています。総評としては、強い個性を持つ1本というより、実用本位のよくできた廉価コンデンサーマイクという位置づけです。
実務的には、47系マイクの系譜や見た目に惹かれて選ぶより、指向性の切り替えや-10dBパッドといった機能面のメリットを目的に選ぶと、期待とのずれが少なくなります。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は表に記載しています。
評判の参照元: