オーディオインターフェイスの多くは、できるだけ色付けのないクリーンな録音を目指して作られています。Universal Audio Volt 176はその逆を行く機種です。マイクプリアンプとコンプレッサーの両方に、あえて質感を加える機能を積んでいます。
向いているのは次の人です。
1. 1本のマイクで完結する用途。 ボーカル、ナレーション、ポッドキャストなど、同時に録る系統が1つで足りる人です。
2. 録音の時点で音を作りたい人。 後からプラグインで整える前提ではなく、録りながら質感を決めたい人に向きます。
3. プラグインを増やしたくない人。 ハードウェアのコンプが1台あれば、ソフト音源のコンプに頼る場面を減らせます。
新世代の動きについて。 Universal Audioは2026年10月1日(海外発表)に、Volt Gen 2とVolt Maxの計6機種を発表しました。プリアンプは3つのモード(Warmth・Focus・Shine)の切り替え式になり、Maxの3機種は1176・LA-2A・VCAを模したコンプのプリセットを積んでいます。公式のVolt 176製品ページは現在も掲載され、新モデルVolt 2 Maxへの案内が出ています。ただしVolt 176の後継機と明記されているわけではなく、1入力の機種は新世代に見当たりません。日本での発売時期と価格は確認できていないため、新世代を待つか今のVolt 176を選ぶかは、国内の取り扱いが出てから比べるのが確実です。
1系統のオーディオインターフェイスは価格帯が広く、機能の差も大きい分野です。3つの軸で見ます。
Universal Audio 公式ページの記載に基づく数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入出力 | 1 in / 2 out(マイク/ライン/楽器コンボ入力1、バランス出力2、ヘッドホン1、MIDI IN/OUT) |
| 解像度 | 24bit / 192kHz |
| 接続・電源 | USB-C(USB-A変換ケーブル付属)・バスパワー |
| 対応環境 | Mac・PC・iPad・iPhone(クラスコンプライアント) |
ダイナミックレンジやマイクゲインの具体的な数値、本体の寸法・重量は、公式製品ページ上に記載がなく確認できませんでした(未確認)。数値で比較したい場合は、この点を踏まえたうえで判断してください。
24bit / 192kHz — 記録できる音の細かさの上限です。実際の制作では24bit/48kHzで作業する場面が大半で、192kHzは余裕として付いていると考えて構いません。
USB-Cバスパワー — 電源アダプターなしでUSBケーブル1本から動きます。USB-Aへの変換ケーブルが付属するため、古いパソコンのUSB-Aポートにもそのままつなげます。
Volt 176の特徴は名前の「176」が示すとおり、2つの回路にあります。
Vintage Mic Preamp mode。 UAの真空管プリアンプ「610」を参考にしたモードです。通常のクリーンな増幅に切り替えて、真空管特有の温かみのある質感を加えられます。ボタン1つでオン/オフを切り替えられるため、素材や好みに応じて使い分けられます。
76 Compressor。 名機として知られる「1176」を参考にしたアナログ回路のコンプレッサーです。コンプレッサーとは、大きすぎる音を自動的に抑えて音量差をならす機能です。ソフトウェア側のプラグインで同じことをする方法もありますが、Volt 176では録音の入り口でハードウェアとしてかけられます。録った後に「大きすぎて音が割れていた」という失敗を減らせます。
このほか、48Vファントム電源、ダイレクトモニタリング機能を備えています。3つの機能はいずれも、録音した音をあとから直す手間を減らすための仕組みです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥28,600 | 2026.10.19 取得時点の実売価格(イケベ楽器店・セール) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4530027172016 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Universal Audio Volt 176」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Audient iD4 MKII | ¥28,850 | コンソール由来のマイクプリと大型モニターノブを重視する人 |
| Focusrite Scarlett Solo (4th Gen) | ¥19,800 | クリーンな録音を優先し、価格も抑えたい人 |
| Arturia MiniFuse 1 | ¥10,780最安 | まず1系統から安く始めたい人 |
(価格はいずれも2026.08.26時点の楽天市場での実売価格)
この4台の中で、ハードウェアに質感を持たせる機能を明確に持つのはVolt 176だけです。iD4 MKIIは操作性の作り込み、Scarlett SoloとMiniFuse 1はクリーンさと価格を優先する選択になります。何を録っても同じ質感で揃えたいなら、この時点でVolt 176を選ぶ理由が固まります。
評価は全体に高めです。Universal Audio公式のレビュー欄は5点満点で4.7(38件)、ドイツの販売店Thomannでは4.6(64件)で、どちらもプリアンプの音と筐体のしっかり感を褒める声が目立ちます。Thomannには、価格のわりに音が良く、上位のApollo Twinに近いと受け取る投稿もあります。内蔵コンプは使いやすいという声が多い一方、公式欄には効きが控えめで違いが分かりにくいという投稿もあり、受け止めは分かれています。
不満で目立つのはドライバー周りです。Thomannでは、WindowsでASIOドライバーを入れてから出力にプチプチというノイズが出て、一般的な対処では直らなかったという報告があります。公式欄でも、FL Studioの特定のバッファーサイズ(1024や2048サンプル)でノイズが出るという投稿が2件あります。低遅延でのモニタリングに不満を述べる投稿も一部にあります。ほかに、ノートパソコンのバスパワーでは消費電力が大きいため、電源の取れる環境で使うよう勧める声もあります。
Sound On Soundの発売時の紹介記事は、コンプを1176風の回路でVocal・Guitar・Fastの3プリセットと説明していますが、独立した試聴評価ではなくメーカー説明の紹介にとどまります。
ノイズの報告はWindowsまたはFL Studioの環境に集中しています。Windowsで低遅延を重視するなら、購入前に自分のDAWとバッファー設定の相性を確認しておくと安心です。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は各表に記載しています。2026.10.17の再確認では新品最安が¥28,600で、表の価格との差は1割未満でした。
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