MXLのコンデンサーマイクを調べていると、同社の定番であるMXL 990と並んでよく名前が挙がるのがMXL 770です。同じMXL製で価格帯も近いため、どちらを選ぶか迷う組み合わせになります。
選ぶ理由は3つです。
1. パッドとハイパスフィルターのスイッチがある。 MXL公式サイトの記載によると、0dB/-10dBの減衰スイッチと、150Hz・6dB/octaveのハイパスフィルタースイッチを備えています。大きな音量の音源や、低域の被りが気になる音源に合わせて特性を切り替えられます。
2. 最大SPLが137dB。 0.5% THDでの最大入力音圧レベルが137dBです。ボーカルだけでなく、音圧の高い音源に近づけて使う場面でも歪みにくい余裕があります。
3. ショックマウントとケースが標準付属。 MXL70ショックマウントとキャリングケースが同梱されており、振動対策を別途買い足す必要がありません。
比較の軸を先に決めます。
MXL公式サイトに記載されている数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| マイク方式 | コンデンサー |
| カプセル | 22mm金蒸着カプセル |
| 指向性 | カーディオイド(単一指向性) |
| 周波数特性 | 20Hz〜20,000Hz |
| 感度 | 15mV/Pa |
| インピーダンス | 150Ω |
| S/N比 | 74dB(Ref. 1Pa A特性) |
| 等価雑音レベル | 20dB(A特性、IEC268-4) |
| 最大入力音圧レベル | 137dB(0.5% THD) |
| ハイパスフィルター | 6dB/octave・150Hz |
| 減衰スイッチ | 0dB、-10dB |
| 電源 | ファンタム電源48V |
| サイズ・重量 | 59mm×158mm・453.59g |
| 仕上げ | ブラック(黒グリル) |
| 付属品 | MXL770本体・MXL70ショックマウント・MXLキャリングケース |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
最大入力音圧レベル137dB — 「歪まずに録れる一番大きな音量」の目安です。ボーカル用途には十分すぎる余裕で、ギターアンプなど音圧の高い音源に近づけて使う場面でも安心材料になります。ただし、ドラムのキックのように極端に音圧の高い音源への近接使用は、この数字だけでは判断しきれません。
減衰スイッチとハイパスフィルター。 0dB/-10dBのパッドは大音量の音源で歪みを避けるためのスイッチ、150Hzのハイパスフィルターは低域の被りやハンドリングノイズを軽減するためのスイッチです。どちらも音源に合わせて特性を切り替える機能で、1本のマイクでカバーできる範囲を広げます。
等価雑音レベル20dB(A特性) — マイク自体が発するノイズの目安です。エントリー帯のコンデンサーマイクとして標準的な水準で、静かな部屋であれば気になりにくい数字です。
同じMXL製で価格帯も近く、どちらを選ぶか迷う人が多い組み合わせです。両モデルともMXL公式サイトの記載に基づく比較です。
770にはパッドとハイパスフィルターがある。 MXL公式サイトのスペック表を見比べると、770には0dB/-10dBの減衰スイッチと150Hzのハイパスフィルタースイッチが明記されていますが、990のスペック表にはこの2つのスイッチが見当たりません。音源に合わせて特性を切り替えたいなら770、切り替え機構のないシンプルな構成でよいなら990、という分かれ方になります。
最大SPLは770が7dB高い。 770は137dB(0.5% THD)、990は130dB(0.5% THD)です。数値上は770のほうが大きな音量の音源に余裕があります。
インピーダンスは770のほうが低い。 770が150Ω、990が200Ωです。等価雑音レベルはどちらも20dB(A特性)で共通です。
サイズ・重量・仕上げが違う。 770は59mm×158mm・453.59gでブラック仕上げ、990は60mm×130mm・544.3gでシャンパン仕上げです。770のほうがやや長く、やや軽い本体です。
付属品はどちらもショックマウント・ケース込み。 770はMXL70ショックマウントとキャリングケース、990は専用ショックマウント・マイクスタンドアダプター・キャリングケースが付属します。届いてすぐ設置できる点は共通です。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥22,748 | 2026.09.24 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0658700916185 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「MXL 770」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。マルチパターン版のMXL 770Xは別機種のため、今回の価格調査には含めていません。
MXL 770が唯一の正解ではありません。目的が違えば答えも変わります。
| マイク | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| audio-technica AT2020 | ¥13,200最安 | 価格を最優先にしたい人。詳しくは単体レビュー |
| MXL 990 | ¥20,548 | パッド・ハイパスフィルターより付属品のシンプルさを優先したい人。詳しくは単体レビュー |
| RODE NT1(5th Generation) | ¥44,000 | 価格帯を上げてでも自己ノイズの少なさを重視したい人。詳しくは単体レビュー |
(audio-technica AT2020は2026.09.21、MXL 990は2026.08.27、RODE NT1(5th Generation)は2026.08.26時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「価格」と「スイッチの有無」です。とにかく安く始めたいならAT2020、同じMXLでシンプルな構成でよいなら990、予算を上げてでも静けさを取るならNT1、パッドとハイパスフィルターで音源の幅に対応したいなら770、という並びになります。
専門誌Tape Opのレビューは、MXL 770の音の特徴を前作の990より明るい方向と位置づけ、9kHz付近に伸びる高域の艶がボーカルを後処理なしでも前に出すと評価しています。低域から中域にかけてのノイズが少なく、ボーカル・アコースティック楽器・ドラムの部屋鳴り収録まで幅広くこなす点も長所として挙げています。同価格帯のSHURE SM57と比べて、より肉厚な音でありながら汎用性が高いという評価も見られます。一方で、キックドラムを近接でマイキングする用途には向かないこと、付属のポップフィルターの縁が鋭く衣類に引っかかりやすいことを弱点として指摘しています。
Gearspaceのフォーラムには、YouTube向けのナレーションや弾き語りの収録で長く愛用しているという投稿があり、ヒップホップのボーカル録音でTLM-103のような高価格帯のマイクを使う友人より良い結果が得られたと報告する例もあります。同じスレッドには、スポークンワード(語り)の収録用途で気に入っているという声もあり、歌唱以外の用途でも評価されている様子がうかがえます。同フォーラムの機種ページでも、価格を考えると音の仕上がりに対する満足度が高いという評価が目立ちます。
複数のソースで一致しているのは、価格に対する音質の満足度の高さです。ただし高域の持ち上がりはソースを選ぶため、ギターアンプなど音源によっては相性が合わない場合があるという指摘も踏まえておく必要があります。付属のショックマウントとケースを含めて考えると、初めてのコンデンサーマイクとしての総合的な満足度は高いという見方で複数のソースが一致しています。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.09.24時点)。alternatives表の価格は各機種の直近取得日を併記しています。
評判の参照元: