ZOOMのハンディレコーダーには、H1essentialのように内蔵マイクを主役にした機種がすでにあります。H1 XLRはその逆を行く設計です。内蔵マイクを持たず、外部入力にすべてを振っています。
なぜこの割り切りが選ばれるのか、理由は3つです。
1. XLR/TRSコンボ入力を2系統、ロック機構付きで備えている。 外部マイクをケーブルの抜け落ちを気にせず2本つなげます。ミキサーのステレオ出力やキーボードのライン出力も、同じ端子で受けられます。
2. +48Vファンタム電源で、コンデンサーマイクも使える。 電池駆動の携帯レコーダーでコンデンサーマイクまで動かせる機種は多くありません。外部マイクの選択肢を狭めずに済みます。
3. EIN -122 dBuの低ノイズなプリアンプで、ゲイン調整の手間が減る。 静かな声と大きな声が混在する素材でも、ゲインを録音中に触り直す必要が少なくなります。内蔵マイクを持たない分だけ、外部入力の性能に開発リソースが向けられた機種という見方ができます。
比較の軸はシンプルです。
H1 XLRは1つ目と2つ目を重視し、3つ目を切り捨てた機種です。
ZOOM公式の製品ページと取扱説明書に記載されている数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録フォーマット | WAV・32bitフロート固定、サンプリング44.1/48/96kHz |
| 入力端子 | XLR/TRSコンボ×2(ロック機構・MIC/LINE切替・+48Vファンタム対応)、ステレオミニ×1(プラグインパワー対応) |
| プリアンプノイズ | EIN -122 dBu |
| 対応ラインレベル | +4 dBu |
| ストレージ | microSDHC 4〜32GB/microSDXC 64GB〜1TB |
| 電源・電池持続時間 | 単3電池2本(アルカリ:ファンタムOFF約12時間/ON約4時間) |
| 外形寸法・質量 | 62.1(W)×107(D)×39.3(H)mm・164g(電池含む) |
効いてくる項目を訳します。
EIN -122 dBu — マイクプリアンプ自体が生み出すノイズの少なさを示す数値です。数字が小さいほど、マイクの音をそのまま増幅したときに余計なヒスノイズが乗りにくくなります。外部マイクの性能をそのまま活かしたい人にとって、内蔵マイクを持たない代わりに投資されたポイントだと分かります。
+48Vファンタム電源 — コンデンサーマイクを動かすために必要な電源です。携帯レコーダーでこれを供給できる機種は限られるため、外部マイクの選択肢がダイナミックマイクに限定されません。
電池持続時間がファンタムのON/OFFで変わる — アルカリ電池でファンタムOFFなら約12時間ですが、ONにすると約4時間まで縮みます。コンデンサーマイクを長時間使う予定があるなら、予備電池やUSBモバイルバッテリーでの運用を前提にしておくと安心です。
質量164g — H1essential(92g)より重くなっていますが、XLR端子2系統を搭載した機種としては小型軽量な部類です。
2つのADコンバータを監視し、自動で最適な結果を選ぶ回路を搭載しています。 ゲインを大きく振っても小さく振っても、クリップしにくい側のAD変換結果を自動的に採用する仕組みです。録音前のゲイン合わせに神経質にならずに済みます。
32bitフロート対応のUSBオーディオインターフェース機能を搭載しています。 Windows/Mac/iOS/Androidに接続し、ライブ配信をしながら本体のSDカードにも同時録音できます。配信ソフト側で問題が起きても、手元に記録が残る構成です。
PC/スマホの再生音と入力音をミックスして配信できるループバック機能があります。 BGMや通話相手の音声と自分の声を混ぜて配信したい場面で、別途ミキサーを用意せずに済みます。
有機ELディスプレイで波形をリアルタイム表示します。 内蔵マイクがない分、外部マイクの入力レベルを画面で確認しながら調整する場面が増えるため、この表示は実用的な意味を持ちます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥18,899 | 2026.09.30 取得時点の実売価格(マークスミュージック楽天市場店) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4515260029891 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「ZOOM H1 XLR」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
外部入力に振り切るかどうかで、選ぶべき機種が変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ZOOM H1essential | ¥12,500最安 | 内蔵マイクでの手軽な収録が主目的の人。90°XYステレオマイクで空気感ごと録りたい向き |
| ZOOM H4essential | ¥26,899 | 内蔵マイクとXLR入力の両方を1台で欲しい人。4トラック同時録音にも対応 |
| TASCAM DR-40XP | ¥41,800 | 可動式の内蔵マイクとXLR/TRS入力を両立させたい人。より上位の作り込みを求める向き |
(価格はいずれも2026.09.30時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「内蔵マイクが要るかどうか」です。内蔵マイクを残しつつXLRも欲しいならH4essentialかDR-40XP、外部マイク2本の直結だけに絞って価格を抑えるならH1 XLR、という並びになります。H1essentialとの価格差は約6千円あり、この差はXLR入力2系統とファンタム電源という「外部マイクをそのまま活かす機能」に払っている金額だと考えると分かりやすくなります。
海外メディアの評価はおおむね好意的です。MusicRadarのレビューでは、カメラに載せてもポケットに入れても負担にならない小ささと軽さが評価されています。Acoustic Natureのレビューでも、32bitフロートによってゲインレベルを事前に設定する必要がない点が歩留まりの良さにつながると評価される一方、価格を抑えた機種であるため同社のH4eと比べるとカラー液晶画面や内蔵XYマイク、タイムコード機能を持たない点が明記されています。
不満点として繰り返し挙がるのは、非常に静かな環境での録音でプリアンプのヒスノイズがわずかに聞こえる場合があるという指摘です。EIN -122 dBuという数値自体は優秀ですが、無音に近い自然音の録音では別の機種のほうが向くという評価も見られます。Podcastvideosのレビューでも、プリアンプのノイズと本体の操作子の少なさを減点材料に挙げつつ、予算を抑えたい初心者や、プロ仕様の端子を安価に求める層には合う製品だと結論づけています。
楽天レビューはこの記事の時点でまだ蓄積がありません。総じて、内蔵マイクを持たない代わりに外部入力機能へ投資した設計思想は評価されつつ、極端に静かな環境での収録には限界があるという評価にまとまっています。
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