32bitフロート録音は、録音レベルの失敗を後から取り返せる方式です。TASCAM FR-AV4は、その方式に4系統のマイク入力と、カメラとの同期機能を足した機種です。2025年9月に発表されました。理由は3つです。
1. 32bitフロート録音で、レベル合わせの失敗を後から取り返せる。 複数のマイクを同時に扱う現場では、入力ごとにレベルを追い込む余裕がありません。録音後に波形を下げれば音割れを避けられるため、本番中の作業を減らせます。
2. HDMIでカメラの録画開始・停止とタイムコードを連動できる。 タイムコードとクロックの同期に加え、カメラの録画操作と連動できると公式が案内しています。映像と別録りの音を後で揃える手間を、現場の段階で減らせます。
3. XLR/TRSコンボ入力が4系統あり、最大6トラックを記録できる。 4つの入力とステレオミックスで6トラックです。インタビューで複数のピンマイクを使う、ブームマイクと環境音を別トラックに分ける、といった使い方に向きます。
32bitフロート機は、価格よりも「入力の数」と「同期の仕組み」で選ぶほうが外しにくくなります。
すべてTASCAM公式サイトの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録フォーマット | WAV(BWF)・24bit/32bitフロート、48/96/192kHz。MP3(48kHz、128〜320kbps)も選択可 |
| 32bitフロート録音 | 対応 |
| 入力 | XLR/TRSコンボ×4(Ultra HDDAマイクプリアンプ)、3.5mmマイク/EXT入力 |
| トラック数 | 最大6トラック(4ch+ステレオミックス) |
| タイムコード | Free Run、Time of Dayなど。23.98〜30(60)fps対応、TCXO搭載でジャムシンク可能 |
| HDMI | HDMI Sync対応(タイムコード・クロック同期、カメラの録画連動、複数台のカスケード接続)、4K/60Hz・8K/30Hzのパススルー |
| 出力 | TC OUT、CAMERA/TC/LINE OUT、HDMI、ヘッドホン出力(3.5mmステレオミニ) |
| USB | USB Type-C(USB2.0 High-Speed)、USBオーディオは6入力/2出力・48/96kHz・24bit/32bitフロート |
| 記録メディア | SD/SDHC/SDXCカード(最大512GB) |
| 電源 | 単3形乾電池4本(BH-4AA付属)、USBバスパワー、別売ACアダプター(PS-P520U) |
| サイズ・重量 | 184×42×130mm(突起部を含む)・756g(電池含む)/660g(電池含まず) |
数字が示す意味を補足します。
EIN -127dB以下、ダイナミックレンジ133dB以上 — マイクプリアンプ自体のノイズが小さく、小さな音から大きな音までを広く受けられることを示します。静かな環境音や小さな声を録るときに、プリアンプのノイズが目立ちにくい水準です。
TCXO搭載のタイムコード — 温度変化による時刻のズレが少ない水晶発振器で、複数の機材の時間軸を揃える基準になれます。ジャムシンクで他機材のタイムコードに合わせることも、本機を基準にすることもできます。
HDMI Sync — HDMIケーブルでタイムコードとクロックを同期し、カメラの録画操作とも連動させる機能です。複数台のFR-AV4をつないで連携させることもできます。対応するカメラは機種によって異なるため、購入前にTASCAMの対応一覧を確認してください。
駆動時間は使い方で大きく変わる — 公式の例では、アルカリ電池で2ch・48kHz・24bit録音の場合に約9時間です。6ch・32bitフロートでファントム電源とヘッドホンを使う条件では約2時間30分まで短くなります。長時間の収録ではUSB給電や外部電源を併用する前提で考えてください。
32bitフロートと本体の大きさ — 4入力機としては小型ですが、質量は電池込みで756gあります。ZOOM F3のような2入力機と比べると、持ち運びの軽さでは差があります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥162,800 | 2026.10.17 取得時点の実売価格(イケベ楽器・新品) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4907034135646 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「TASCAM FR-AV4」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
楽天市場にはバッテリーホルダーやブルートゥースアダプターを付けたセット品の出品もあり、本体のみの価格より高くなります。購入前に、セット内容を確認してください。価格は日々動きます。表のボタンから最新の価格をご確認ください。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| TASCAM FR-AV2 | ¥63,360最安 | 入力は2本で足り、タイムコードの基準機にもしたい人 |
| ZOOM F6 | ¥95,000 | 6入力のXLRが必要で、本体の価格を抑えたい人 |
| ZOOM F8n Pro | ¥148,999 | 8入力を使う現場で、より多いトラック数が要る人 |
(FR-AV2は2026.09.15、ZOOM F6は2026.10.05、ZOOM F8n Proは2026.10.12時点の楽天市場での実売価格です)
分かれ目は、入力数とカメラとの同期方法です。入力が2本で足りるならFR-AV2が安く済みます。6入力以上が要るならF6やF8n Proが候補で、FR-AV4はHDMIでカメラの録画と連動させたい4入力の現場に位置します。詳しい比較は32bitフロート機の使い分けで扱っています。単体の記事はTASCAM FR-AV2、ZOOM F6、ZOOM F8n Proにあります。
Sound On Soundのレビューは、プリアンプが透明で静かなこと、32bitフロートでレベルを気にせず録れること、タイムコード機能が厚いことを評価し、4入力機として非常に小型だと述べています。HDMIで内蔵ミックスの音をカメラ映像に差し替えられる点も、独自の強みとされています。映像系の海外レビューでも、電池の持ちを褒める声があり、リチウム電池で15時間近く動いたという検証があります。
不満は具体的です。Sound On Soundは、記録メディアのスロットが1つだけでバックアップ録音ができないこと、ヘッドホン出力が控えめなこと、前面のつまみがゲイン専用でミックス調整に使えないことを挙げています。ファントム電源のマイク4本とHDMI、ヘッドホンを同時に使う最悪条件では、アルカリ電池で約1.5時間という検証もあり、プロの現場ではUSB給電を併用する前提だと受け止められています。ブルートゥースは別売りのAK-BT2が必要で、約70ドルの追加を不満とするレビューや、ブルートゥースヘッドホンでのモニターに遅延があるという指摘もあります。
評価が割れるのは価格の位置づけです。約1000ドルでZOOM F6より高く、画面が小さく端が押しにくい、設定が大がかりで毎回出し入れする機材ではない、と見る海外レビューがあります。オートミックスは発売時に無く、のちのファームウェアv1.1で48kHz限定で加わったとSound On Soundは書いています。
カメラと音を同期する現場が日常的にある人には、価格に見合うという評価が目立ちます。
発表時期(2025年9月)の出典:
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は各表に記載しています。
評判の参照元: