32bitフロート録音に対応したポータブルレコーダーは増えてきました。レベル調整という作業はこれでほぼ解決します。ただ、複数のカメラやレコーダーを同時に使う現場では、次に「タイムコードをどう揃えるか」という課題が残ります。
TASCAM FR-AV2は、この2つに同時に応える機種です。理由を3つに整理します。
1. デュアルAD変換による32bitフロート録音で、レベル調整という作業自体が要らない。 2基のADコンバーターが異なるレベルで同時に信号を受けるため、録音レベルを攻めても音が割れず、後から波形を下げるだけで済みます。
2. TCXO(温度補償型水晶発振器)によるタイムコードジェネレーターを内蔵し、同期のマスター機になれる。 本体だけでタイムコードを生成・送出できるため、複数のカメラやレコーダーを使う現場で、本機を基準にした同期が組めます。
3. XLR/TRSコンボ入力2系統を、Ultra-HDDAマイクプリアンプで低ノイズに受けられる。 EIN(等価入力雑音)-127dBu以下という低ノイズの設計で、業務用マイクの信号を汚さずに受け取れます。
比較の軸をここで固定します。
タイムコード同期が必要な現場ほど、FR-AV2が候補として残ります。
すべてTASCAM公式サイトの記載です。日本での発売は2024年10月1日で、ティアック株式会社が発表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録フォーマット | WAV(BWF)・24bit/32bitフロート |
| サンプリング周波数 | 48/96/192kHz(USBオーディオ利用時は48/96kHzまで) |
| 入力 | XLR/TRSコンボ×2(Ultra-HDDAマイクプリアンプ、EIN-127dBu以下)、3.5mmステレオミニ入力、+24V/+48Vファンタム電源 |
| 出力 | 3.5mmヘッドホン、3.5mmライン出力(カメラ/TC)、タイムコードI/O |
| USBオーディオ | 2イン/2アウトのUSBオーディオインターフェース(32bitフロート対応、Windows/Mac/iOS) |
| タイムコード | TCXO搭載のジェネレーター・I/O・ジャムシンク対応。別売りのAK-BT2でワイヤレス同期も可能 |
| ディスプレイ | 2インチカラーLCD |
| 記録メディア | microSD/microSDHC/microSDXC(最大512GB) |
| 電源 | 単3形電池3本、またはUSBバスパワー |
| 駆動時間 | ファンタム電源不使用時で約9時間(アルカリ)〜約15時間(リチウム)。+48V使用時は約4時間30分〜約10時間 |
| サイズ | 99(幅)×80.4(高さ)×40.3(奥行き)mm |
| 重量 | 267g(電池含む)/195g(電池含まず) |
数字が示す意味を補足します。
32bitフロート(デュアルAD変換) — 32bitフロートは、録音レベルを高くしすぎても音が割れない記録方式です。FR-AV2はさらに2基のADコンバーターを異なるレベルで同時稼働させる方式を採っており、片方が飽和してももう片方のデータで補えます。結果として、録音中にレベルを見直す作業がほぼ不要になります。
TCXOタイムコードジェネレーター — TCXOは温度変化による周波数のズレが少ない水晶発振器です。タイムコードは複数の機材の時間軸を揺れなく揃えるための信号で、これを本体に内蔵しているため、外部の同期発生器を別に用意しなくても本機を基準にできます。
EIN-127dBu以下 — マイクプリアンプ自体が生み出すノイズの量を示す指標です。数字が低いほど、小さな音を録るときにプリアンプ自体のノイズが目立ちません。業務用のダイナミック・コンデンサーマイクを問わず低ノイズで受けられる水準です。
USBオーディオインターフェース機能 — 単体のレコーダーとしてだけでなく、USB接続でパソコンの2イン/2アウトのオーディオインターフェースとしても使えます。1台で現場録音とデスクでの作業を兼任できます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥63,360 | 2026.09.15 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4907034135202 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「TASCAM FR-AV2」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
FR-AV2が唯一の正解ではありません。タイムコード機能の有無や入力数で答えが変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ZOOM F3 | ¥37,900最安 | タイムコード同期が不要で、32bitフロート録音とXLR入力2系統だけで足りる人 |
| ZOOM H6essential | ¥38,900 | 内蔵マイクと外部入力を両方使い分けたい人 |
| TASCAM Portacapture X6 | ¥49,800 | 入力を6トラックまで増やし、タッチスクリーンで操作したい人 |
(ZOOM F3・H6essentialは2026.08.26、Portacapture X6は2026.08.26時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「タイムコード同期が必要かどうか」です。不要ならF3のほうが安く済み、内蔵マイクも欲しいならH6essential、チャンネル数を増やしたいならPortacapture X6という並びになります。複数機材との同期を本体だけで完結させたいなら、FR-AV2が候補として残ります。
FR-AV2は海外の映像機材メディアで取り上げられることが多く、CineDは、タイムコードとBluetoothモニタリングの追加、デュアルコンボジャック、USB-C対応、頑丈な筐体を挙げ、写真と動画を兼ねるカメラと組み合わせる録音機として有力だと評価しています。Videomakerのハンズオンレビューでは、32bitフロート録音による音質と、少ない入力レベルでもクリーンな音を録れるプリアンプの性能を評価し、Zoom F3と比べて筐体の作り込みとカラー液晶の見やすさを優位として挙げています。
一方、Gearspaceのフォーラムでは、購入時に電源アダプター・電池・USBケーブル・取扱説明書が付属しないという指摘が複数あり、別途用意する前提で予算を見ておく必要があるという声があります。また暗い場所ではボタンや表記が見えにくいという指摘もあります。Bluetoothでのワイヤレスモニタリングは別売りのAK-BT2が必要で、追加コストと若干のレイテンシーが発生する点も挙げられています。Zoom F3との比較では、価格差の分だけ筐体の堅牢さとタイムコード機能を買っている、という位置づけで語られることが多いようです。
実務的には、購入直後にすぐ使える状態にしたい場合、電池・USBケーブル・記録用のmicroSDカードを別途用意しておく必要があります。
日本発売日(2024年10月1日)の出典:
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は各表に記載しています。
評判の参照元: