Roland MC-101を検討していて、トラック数やクリップ数が足りるか不安になったら、上位機のMC-707が候補に挙がります。同じZEN-Core音源を積みながら、本体サイズと操作系を大きく引き上げた機種です。
選ぶ理由は3つです。
1. 8トラック×128クリップで、パート数の多い曲にも余裕がある。 MC-101の4トラック×64クリップに対して、MC-707はちょうど2倍です。ドラム・ベース・コード・リード・SEのように分けたいパートが多い曲でも、1台に収め切れる余地が広がります。
2. グラフィックLCDで曲の構成を画面全体から把握できる。 MC-101の16文字×2行の液晶では、今どのクリップが鳴っているかを画面だけで把握するのは困難でした。MC-707は256×80ドットのグラフィックLCDを備え、全トラックのクリップ配置を画面に表示できます。
3. トラックごとに独立したフェーダーとノブがある。 8トラック分のフェーダーと、トラックごとに3つのノブが本体に並んでいます。音量やパラメータの調整のたびにメニューへ潜る必要が減り、手元の操作だけで各パートに触れられます。
比較の軸を先に決めます。
Roland公式製品ページおよび仕様ページの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サウンドジェネレーター | ZEN-Core(Tone、Drum Kit) |
| 最大同時発音数 | 128ボイス(音源の負荷により変動) |
| プリセット音色 | 3,000以上 |
| プリセットドラムキット | 80以上 |
| トラック | 8(Tone・Drum Kit・Looperの3種類から選択) |
| クリップ | 128クリップ(1トラックあたり16クリップ) |
| パッド | 16(8×2列) |
| シーケンサー | 最大128ステップ |
| エフェクト | トラックマルチエフェクト90種、マスターエフェクト90種、コーラス/ディレイ9種、リバーブ7種、マスターコンプレッサー・EQ搭載 |
| ディスプレイ | 256×80ドットグラフィックLCD(バックライト付き) |
| 接続端子 | ヘッドホン(1/4インチステレオ)、MIX OUT L/MONO・R(1/4インチ)、ASSIGNABLE OUT L・R(1/4インチ)、SEND/RETURN L/MONO・R(1/4インチ)、EXTERNAL IN L/MONO/MIC・R(1/4インチ)、MIDI IN/OUT1/OUT2、USB Type-B(オーディオ/MIDI対応) |
| 電源 | ACアダプター(2,000mA) |
| ストレージ | SDカード(SDHC対応) |
| サイズ・重量 | 426(W)×263(D)×60(H)mm・2.1kg |
数字が意味するところを訳します。
トラック8・クリップ128(いずれもMC-101の2倍) — パートを細かく分けたい曲や、展開パターンを多めに仕込んでおきたいライブ用途で余裕が生まれます。MC-101で「あと1トラック欲しい」と感じた場面をそのまま解消できる数字です。
256×80ドットグラフィックLCD — MC-101の16文字×2行の表示では、クリップの一覧性がありませんでした。MC-707は画面全体でクリップグリッドを表示でき、今どのパートが鳴っているかを目で追えます。
接続端子がMC-101より豊富。 MC-101の音声出力はヘッドホンとaudio out(1/4インチL/モノ・R)のみでしたが、MC-707はMIX OUTに加えてASSIGNABLE OUT・SEND/RETURN・EXTERNAL INを備えます。外部エフェクターをループで挟んだり、パートごとに別系統で出力したりする使い方に対応できます。
重量2.1kg・電源はACアダプター(2,000mA)のみ。 MC-101は単3形電池4本またはUSBバスパワーで駆動しましたが、MC-707は電池駆動に対応せず、専用ACアダプターが前提です。携帯性より据え置きでの本格運用を想定した設計です。
同じZEN-Core音源を積む兄弟機だけに、どちらを選ぶか迷う人が多い組み合わせです。
トラック・クリップ数は2倍。 MC-101が4トラック×64クリップなのに対し、MC-707は8トラック×128クリップです。プリセット音色(3,000以上)・ドラムキット(80以上)・エフェクトの種類数(トラック/マスターとも90種)はどちらも共通で、差は「同時に扱えるパート数」に集約されます。
操作系がテキスト表示からグラフィック表示へ。 MC-101は16文字×2行のバックライト付きLCDでしたが、MC-707は256×80ドットのグラフィックLCDです。クリップの一覧性が大きく変わります。
本体サイズと電源方式が変わる。 MC-101は224×132×61mm・716g(電池含む)で単3電池4本またはUSBバスパワーに対応していましたが、MC-707は426×263×60mm・2.1kgとひとまわり大きく、電源はACアダプター専用です。外に持ち出して電池で使う前提なら、MC-101のほうが向いています。
入出力の系統が増える。 MC-101のオーディオ出力はヘッドホンとaudio out(L/モノ・R)のみでしたが、MC-707はMIX OUTに加えてASSIGNABLE OUTとSEND/RETURNが独立しています。外部エフェクターを部分的に挟む使い方は、MC-707でないとできません。
トラックごとに独立したフェーダーとノブ。 Roland公式製品ページによると、8トラックそれぞれにフェーダーとノブを持つ操作系です。海外レビューでは、この配置を同社のリズムマシンTR-8Sと同様の「ミキサーのような」レイアウトと評しています。
TR-REC方式のステップシーケンサー。 Roland公式製品ページの説明によれば、同社の往年のドラムマシンで採用されてきたTR-REC方式のステップ入力を継承し、最大128ステップまで対応します。
ZEN-Coreによる音作りの深さ。 ZEN-Core音源はTR-808・TR-909・TB-303など同社の資産を土台にしており、MC-101よりパラメータへのアクセスが広いとの指摘があります。プリセットをそのまま使うだけでなく、音を作り込みたい場面にも対応する余地があります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥126,500 | 2026.10.19 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4957054513849 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Roland MC-707」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。中古・展示品・アウトレット品は今回の価格調査から除外しています。
MC-707が唯一の正解ではありません。何を主役にしたいかで答えは変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| AKAI Professional MPC One G2 | ¥139,800 | サンプリングとDAW的なワークフローを重視したい人。詳しくは単体レビュー |
| Roland TR-8S | ¥112,200 | ドラムの音作りと質感に絞って追求したい人。詳しくは単体レビュー |
| Roland SP-404MK2 | ¥72,800最安 | サンプリング主体で、価格を抑えて始めたい人。詳しくは単体レビュー |
(AKAI MPC One G2は2026.09.17、Roland TR-8Sは2026.09.21、Roland SP-404MK2は2026.09.18時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「何を主役にするか」です。サンプリングを多用したいならMPC One G2、ドラムの音作りに絞るならTR-8S、価格を抑えてサンプリング中心に始めるならSP-404MK2、内蔵音源の量とパート数の多さを両立したいならMC-707、という並びになります。
Sound on Soundのレビューは、MC-707の8トラック分のフェーダーとノブが並ぶ操作系を姉妹機TR-8Sと同じくミキサー卓に近い並びだと評し、学習曲線はそれほど急ではないとしながらも、機能によっては相応のメニュー操作が避けられないと指摘しています。MusicRadarのレビューも、クリップ単位で曲を組み立てるワークフローを高く評価する一方、小さな画面ゆえにメニュー操作の比重が大きいこと、パッドの感度が重めで強めに叩かないとベロシティが出にくいことを弱点として挙げています。同誌は、フラッグシップ機Jupiter-Xと共通のZEN-Core音源によって同社の往年の楽器の音を呼び出せる点を評価しつつ、専用アナログ回路によるモデリング(ACB)を積む上位ブティック機とは異なる方式のため、そのぶん128ボイスという高い同時発音数と、サンプルを取り込んでの音作りの自由度を得ているとまとめています。サンプリング面では、ワンショットの録音やループのスライスができない点を課題としています。
Gearspaceのオーナー向けスレッドでは、内蔵音源の量そのものは評価される一方、公称3,000以上の音色・80以上のドラムキットのうち実用的に使えるのは一部にとどまるという指摘や、ドラムの音が単調に感じられるという辛口の意見も見られます。価格に見合うかどうかで意見が分かれており、単体で完結する用途では満足度が高い一方、外部機材と組み合わせるダウレス制作のメイン機としては物足りないとする声もあります。
実務的には、内蔵音源だけで曲を作り切る用途に向いており、サンプリングを多用する制作スタイルには他機種の検討も勧められます。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.10.19時点)。alternatives表の価格は各機種の直近取得日を併記しています。
評判の参照元: