ダイナミックマイクやリボンマイクは、コンデンサーマイクに比べて出力が小さい設計です。安価なオーディオインターフェイスと組み合わせると、ゲインつまみを目一杯まで上げてもまだ音量が足りない、という状況が起こります。Cloudlifter CL-1は、この不足分をマイクとインターフェイスの間で解決する機材です。
選ばれる理由は3つです。
1. マイクの手前で信号を持ち上げる。 インターフェイス側のゲインをこれ以上上げられない状態でも、CL-1を挟むことで最大+25dBの増幅が得られます。dBは対数の単位で、+25dBは電圧にしておよそ18倍の増幅にあたります。インターフェイスのゲインを無理に上げずに済むため、プリアンプ自体のノイズが目立ちにくくなります。
2. ファンタム電源をマイクに流さない。 CL-1は動作用の電源として+48Vファンタム電源を利用しますが、これをマイク側にはそのまま通しません。リボンマイクや一部のチューブマイクはファンタム電源を直接受けると破損する恐れがあるため、この仕組みは安全に使ううえで重要です。
3. 余計な回路を挟まない設計。 クラスAのディスクリートJFET回路による2段増幅で、コンデンサーやレジスターなど音を劣化させやすい部品を極力使わない構成です。増幅だけに役割を絞った、シンプルな信号経路になっています。
CL-1が効果を発揮する条件は限られています。ここを外すと、買っても効果を感じられません。
すべて Cloud Microphones 公式製品ページの記載です。公式ページに外形寸法・重量の記載が無いため、本文・表のどちらにも書いていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲイン | 最大+25dB(受動型マイク向け) |
| 入力インピーダンス | 3kΩ(ダイナミック・チューブ・リボンマイク向け) |
| 電源 | +48Vファンタム電源(動作用。マイク側には通過させない) |
| 回路方式 | クラスA ディスクリートJFET回路による2段増幅 |
| 筐体 | スチール製。マイクスタンドや卓上での設置に対応(専用ストラップ付属) |
| 入出力端子 | XLR(入力・出力各1系統、1ch仕様) |
| 製造 | アメリカ国内生産 |
数字が示す意味を補足します。
+25dBの増幅 — 電圧に換算するとおよそ18倍です。出力の小さいダイナミックマイクの信号を、インターフェイスに届く前にこの分だけ持ち上げます。インターフェイス側のゲインをそのぶん低く保てるため、プリアンプ自体のノイズフロアが目立ちにくくなります。
入力インピーダンス3kΩ — ダイナミック・チューブ・リボンマイクの出力特性に合わせた値です。コンデンサーマイクはそもそも自身で信号を増幅する仕組みを持つため、この設計の恩恵を受けません。
ファンタム電源を通過させない — CL-1自体は+48Vで動作しますが、その電圧をマイク側にはそのまま流しません。ダイナミックマイクには影響しませんが、リボンマイクやチューブマイクを保護するうえで欠かせない仕組みです。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥22,800 | 2026.09.21 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
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価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
CL-1が唯一の選択肢ではありません。使うマイクの本数や予算が違えば答えも変わります。
| 機種 | 税込目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Triton Audio FetHead | 1万円台 | マイクのXLR端子に直接挿す筒型で、ケーブルを1本減らしたい人 |
| sE Electronics DM1 Dynamite | 1万円台前半 | 1ch分の出費をできるだけ抑えたい人 |
| Cloud Microphones CL-2 | 3万円台 | マイクを2本同時に使う人。2ch分を1台でまかないたい人 |
分かれ目は「使うマイクの本数」と「予算」です。1本だけ、できるだけ安く済ませたいならFetHeadやDM1、2本同時に使うならCL-2、1本を確実な作りで揃えたいならCL-1、という並びになります。
Gearspaceのフォーラムには、SHURE SM7BやElectro-Voice RE20、リボンマイクとの組み合わせでCL-1を使うプロの声が多く投稿されています。高性能なプリアンプを持っていてもゲインを上げすぎるとノイズフロアが目立つため、CL-1を挟んで信号を先に持ち上げるという使い方が繰り返し紹介されており、マイク本来の低域と高域が出やすくなったという評価も見られます。SoundGuysのレビューでも、信号がクリーンで目立ったノイズの追加が無い点が評価されています。
一方で、CL-1は音量を持ち上げるだけの機材であり、部屋の暗騒音やマイク自体の自己ノイズを減らす機能は無いという指摘もあります。Gearspaceの別スレッドでは、SM57のようにもともと出力が十分なマイクに使っても効果が薄く、単にノイズフロアを持ち上げるだけだったという報告や、特定のインターフェイスとの組み合わせでハムノイズが乗ったという報告があります(原因が周辺の他の機器だったと後に判明したケースも含まれます)。放送用途で使っていたユーザーが導入から1週間で故障したという報告も見られ、個体差や耐久性を懸念する声も一定数あります。
実務的には、出力の小さいマイクとの組み合わせでは評価が安定しており、すでに音量が足りているマイクに追加しても効果は限定的という位置づけです。導入を検討する際は、まず手持ちのインターフェイスのゲインを目一杯まで上げた状態でどれだけ音量が不足しているかを確認し、それでも足りない場合に候補とするのが手堅い順序といえます。
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