配信やナレーション収録の機材を調べていると、RODEのProcasterに行き当たることがあります。放送局向けのブロードキャストマイクとして作られたダイナミックマイクです。
このマイクが選ばれる理由は3つあります。
1. 声だけを拾う設計。 カーディオイド(単一指向性)の中でも、声の帯域に合わせて狭めにチューニングされています。マイクの正面以外から回り込む音を拾いにくいため、部屋の反響やエアコンの音が録音に混ざりにくくなります。
2. 壊れにくい作り。 オールメタルのボディに、カプセルを外部振動から守る内蔵ショックマウントと、破裂音を抑える内蔵ポップフィルターを備えています。オンライン登録をすれば10年保証が付くことからも、長く使う前提の作りだとわかります。
3. 手持ちの機材にそのまま挿せる。 XLR接続のダイナミックマイクなので、ファンタム電源(コンデンサーマイクに必要な電源)が要りません。すでにオーディオインターフェイスやミキサーを持っているなら、追加の電源なしでそのまま使えます。
ただし後述のとおり、出力レベルは大きめではありません。組み合わせる機材のゲインに余裕がないと、音量不足に悩まされる可能性があります。
比較の軸を先に決めます。
まず数値を並べます。すべてRODE公式の取扱説明書に記載の値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方式 | ダイナミック型 |
| 指向性 | カーディオイド(単一指向性) |
| 周波数特性 | 75Hz〜18,000Hz |
| 感度 | -56dB±2dB re 1V/Pa(1kHzにて1.6mV @ 94dB SPL) |
| 出力インピーダンス | 320Ω |
| 出力端子 | 3ピンXLR(バランス、ピン2(+)・ピン3(-)・ピン1(グラウンド)) |
| 質量・寸法 | 695g・長さ214mm・直径53mm |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
周波数特性 75Hz〜18,000Hz — コンデンサーマイクによくある20Hz〜20kHzより狭い範囲です。下は75Hzまでしか拾わないため、机を叩く低い振動音や空調の低いうなりが最初から抑えられています。上も18kHzまでで、耳に刺さるような超高域の付帯音が乗りにくい設計です。声の帯域に絞ることで、雑音になりやすい両端を切り落としていると考えると理解しやすくなります。
感度 -56dB — ダイナミックマイクの中でも出力が小さめの数値です。コンデンサーマイクはこれより10〜20dB程度出力が大きいのが一般的で、Procasterはその分だけ大きくゲインを上げる必要があります。非力なオーディオインターフェイスやミキサーだと、ツマミを最大近くまで回してもまだ物足りない、という事態が起こり得ます。この点は後述のレビューでも繰り返し指摘されています。
内蔵ショックマウント・ポップフィルター — マイクスタンドを机に置いたときの振動音(ハンドリングノイズ)と、「ぱ」「ば」行で息が当たって出る破裂音(プロージョン)を、外付け部品なしである程度抑える機能です。ただし完全に消えるわけではなく、発声時にマイクの真正面を避けて斜めから話すなどの工夫が別途あると安定します。
質量695g・オールメタル構造 — 一般的なUSBマイクより重く、剛性の高い金属ボディです。付属のスタンドマウントで固定できますが、机の上での取り回しを考えるなら、しっかりしたブームアームとの組み合わせが安定します。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥36,000 | 2026.08.27 取得時点の実売価格(ワタナベ楽器 楽天SHOP) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 0698813001118 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「RODE Procaster」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
楽天市場では¥39,600の出品が中心ですが、確認できた範囲での最安はワタナベ楽器 楽天SHOPの¥36,000でした。価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
Procasterが唯一の正解ではありません。同じダイナミックマイクの中にも性格の異なる機種があります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58 | ¥15,950 | まず1本、実績のあるライブ・配信用マイクを安く揃えたい人 |
| SENNHEISER e835 | ¥11,880最安 | SM58よりもう少し声の輪郭を出したい人。同価格帯の対抗機種 |
| SHURE SM7B | ¥60,940 | ブロードキャスト向け定番機の中でも、より上位の質感を求める人 |
(価格はいずれも記事公開時点で確認した楽天市場での実売価格。SM58は2026.08.25、e835は2026.08.26、SM7Bは2026.08.27に取得)
分かれ目は「どこまで声の輪郭とノイズ耐性を求めるか」です。とにかく安く定番を揃えたいならSM58、似た価格帯で違う音の傾向を試したいならe835、Procasterと同じ放送局向けの系統でさらに上を求めるならSM7Bという並びになります。SM7Bも出力が小さいマイクとして知られており、Procaster同様にゲインを稼ぐ機材との組み合わせが前提になる点は共通しています。
Procasterは放送・配信向けダイナミックマイクの定番として、英語圏のレビューが豊富です。Podcastageのレビューは、狭いカーディオイド特性による周囲ノイズの遮断性能を高く評価し、声の低域から高域まで滑らかで透明感のある再生を確認したとしています。The Podcast Hostのレビューでも、ダイナミックマイクでありながら声のニュアンスをよく拾う点と、金属ボディの堅牢さが評価されています。Reddit上の意見をまとめたredditrecsの集計では、同価格帯で人気のSHURE SM7Bと比較して「低域に温かみがある」「遜色ない」と評価する投稿が複数あり、好意的な意見が多数を占めています。
一方、不満点として繰り返し挙がるのは出力の小ささです。Podcastageは「出力レベルが低め」だとして、Cloudlifterのようなゲインを底上げする機材の併用を勧めており、The Podcast Hostも「通常よりだいぶ入力レベルを上げる必要がある」と述べています。Reddit上でも同様に、Cloudlifterの併用を前提にしている投稿が見られます。またPodcastageは、内蔵ポップフィルターがあっても破裂音が完全には抑えられない点と、XLR接続のため別途ミキサーやオーディオインターフェイスが必要になる点を弱点として挙げています。
複数のソースで一致しているのは、ノイズ遮断性能と声の質感への評価が高い一方、非力なプリアンプでは力不足になりやすいという点です。実務的には、購入前に組み合わせるオーディオインターフェイスのゲイン上限を確認し、余裕がなければCloudlifterのようなインラインプリアンプを合わせて検討するのが現実的な判断になります。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は各表に記載しています。
評判の参照元: