ステージ用のダイナミック型ハンドマイクといえば、SHURE SM58やBETA58Aが真っ先に候補に挙がります。beyerdynamic TG V70も同じ用途のマイクですが、公式マニュアルの説明を読むと、この機種が狙っている音の方向がはっきり見えてきます。
beyerdynamic公式のマニュアルには「TG V70は近接効果が顕著で、特にポップス・ソウル・ジャズにおいて、パワフルで温かみがあり、高域まで非常に透明感のあるサウンドを届ける」と説明されています。近接効果とは、マイクに口を近づけたときに低音が持ち上がる現象のことです。この効果を強く出すように設計されているため、マイクとの距離を詰めて歌うほど声に厚みが出ます。SM58のような癖の少ない中庸な特性とは、狙いどころが違うマイクです。
指向性はハイパーカーディオイドです。公式マニュアルには「ハイパーカーディオイド特性により、フィードバック(ハウリング)に対して非常に高い耐性がある」とあり、モニタースピーカーの音を拾いにくい設計になっています。マニュアルはさらに、モニタースピーカーをマイクの斜め後方(角度約110°)に置くと、フィードバック耐性が最大になると具体的に説明しています。
TG V70にはオン・オフスイッチがありません。スイッチ付きが欲しい場合は同じ筐体のTG V70 sを選ぶことになります。
数値はbeyerdynamic公式サイトからダウンロードできるマニュアルPDFの記載です。公式製品ページのテクニカルデータ欄には一部の項目しか掲載されていないため、詳細はマニュアル記載の数値を採用しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | ダイナミック型 |
| 作動原理 | 圧力傾度型(プレッシャーグラジエント) |
| 指向性 | ハイパーカーディオイド |
| 周波数特性(近接時) | 25Hz〜18,000Hz |
| 背面減衰 | 110°で25dB以上(1kHz時) |
| 感度 | 3.2mV/Pa(-50dBV)±2.5dB |
| 磁界抑制 | 50Hz時に20dB以上 |
| 公称インピーダンス | 280Ω |
| 推奨負荷インピーダンス | 1kΩ以上 |
| コネクター | XLR 3ピン(オス) |
| 寸法 | 全長185mm・シャフト径23/35mm・ヘッド径54mm |
| 重量 | 345g |
近接効果を狙った25Hz〜18,000Hzという周波数特性 — 下限が25Hzまで伸びているのは、近接効果で持ち上がる低音域をきちんと拾うためです。SM58の下限が50Hzであるのと比べると、マイクに近づけたときの低音の出方に差が出やすい設計です。
感度3.2mV/Pa — 「マイクが拾った音をどれだけ電気信号に変換できるか」の数値です。この数値だけを見て単純に大小を比較するものではありませんが、オーディオインターフェースのゲインに余裕を持たせておくと安心です。
背面減衰25dB以上(110°) — ハイパーカーディオイドらしい強い指向性です。モニタースピーカーの位置をマイクの真後ろではなく斜め後方(約110°)に置くことで、この減衰量を最大限に活かせるとマニュアルに明記されています。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥35,739 | 2026.10.19 取得時点の実売価格(新品・スイッチなしのTG V70) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4589702690055 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「beyerdynamic TG V70」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。なお、ロック可能なスイッチが付いたTG V70 sは別型番で、価格も異なります。
TG V70が唯一の正解ではありません。声の方向性が違えば、選ぶべきマイクも変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| SHURE SM58 | ¥15,950最安 | 癖の少ない中庸な特性で、まず1本目を探している人 |
| SHURE BETA58A | ¥25,740 | SM58よりさらに背面の音を拒否したいライブボーカル |
| beyerdynamic TG V70 | ¥35,739 | 近接効果を強く効かせて、声に厚みを出したい人 |
(価格はいずれも2026.08.26時点の楽天市場での実売価格。SM58・BETA58Aは本サイトの各記事より)
3本ともダイナミック型のハンドマイクで、大枠の使い方(XLR接続・ファンタム電源不要・頑丈な作り)は共通です。分かれ目は声の作り方です。癖なく素直な音を求めるならSM58、さらに背面の遮断性を上げたいならBETA58A、近接効果で声に厚みを持たせたいならTG V70という順番になります。価格差の3本の中では最も高価な部類に入りますが、その分だけ狙った音の方向がはっきりしているマイクです。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は表に記載しています。