audio-technicaのモニターヘッドホンにはM20x・M30x・M40x・M50xという序列があります。ATH-M20xはその中でもっとも価格を抑えた入口の機種です。
選ぶ理由は3つです。
1. 価格が抜けて低い。 モニターヘッドホンの中でも1万円を切る水準で、密閉型の遮音性を備えたモデルとしては最初の1本に選びやすい価格です。
2. 駆動条件が扱いやすい。 インピーダンス47Ω・感度96dB/mWは、パソコンの音声出力やオーディオインターフェイスのヘッドホン端子に直結してもきちんと鳴る水準です。専用のヘッドホンアンプを別途用意する必要がありません。
3. 密閉型で宅録・配信用途に合う。 型式は密閉ダイナミック型です。マイクへの音漏れを抑えたい宅録・配信の用途で、構造面での条件を満たしています。
一方で、audio-technica公式サイトの製品ページには通常色(黒)について「生産完了」の表示があります。店舗に残っている新品在庫を購入する形になる点は、先に押さえておいてください。
比較の軸を先に決めます。
すべてaudio-technica公式サイトの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | 密閉ダイナミック型 |
| ドライバー | φ40mm |
| 再生周波数帯域 | 15〜20,000Hz |
| インピーダンス | 47Ω |
| 感度(出力音圧レベル) | 96dB/mW |
| 最大入力 | 700mW |
| 質量 | 約190g(コード除く) |
| コード | OFCリッツ線・3.0m・片出し |
| プラグ | φ6.3mm標準/φ3.5mmミニ 金メッキステレオ2ウェイ |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目を訳します。
密閉ダイナミック型 — ハウジングが閉じた構造で、外への音漏れと外からの音の侵入をどちらも抑えます。宅録でマイクに音が回り込むのを避けたい場合や、配信中に周囲へ音が漏れるのを防ぎたい場合に向いた構造です。開放型(セミオープン型を含む)は装着感や音の抜けの良さで有利ですが、密閉性は下がります。
インピーダンス47Ω・感度96dB/mW — 数値が低いインピーダンスと高めの感度の組み合わせは、パソコンやスマートフォン、オーディオインターフェイスの非力な出力でも十分な音量を得やすいことを意味します。専用アンプがなくても鳴らせる機種です。
最大入力700mW — ヘッドホンが安全に受け止められる入力の上限です。同社のATH-M30x(1,300mW)と比べると余裕は小さく、瞬間的に音量を大きく上げる作業を繰り返す用途では、この差が気になる場面が出てきます。
コード3.0m・片出し — スタジオでの据え置き用途を想定した長さです。片出し(片側からのみコードが出る)構造で、取り回しの面では両出しよりも扱いやすい形式です。ただし、コードは着脱式ではなく本体に直結された仕様のため、断線時はコード交換ではなく修理・買い替えの対象になります。
audio-technica公式サイトのATH-M20x製品ページには、カラー選択欄の下に「生産完了」という表示があります。同ページで価格・在庫が明示されているのは、オンラインストア限定のホワイトモデル「ATH-M20x WH」のみです。
つまり通常色(黒)のATH-M20xは、メーカーによる現行生産品ではなく、楽器店・家電量販店に残っている新品在庫を購入する形です。本記事執筆時点(2026.09.14)では楽天市場の複数店舗で新品在庫が確認できていますが、在庫が尽きれば入手が難しくなる可能性がある点は踏まえておいてください。長く安定して入手したい場合は、現行モデルのATH-M30xやATH-M20x WHも比較対象に入れる価値があります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥7,000 | 2026.10.19 取得時点の実売価格(新品在庫) | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4961310125400 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「audio-technica ATH-M20x」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。イヤーパッドや収納ケースなどの単品アクセサリ、ATH-M20xBT(Bluetooth版)やATH-M20x STSといった別モデルは本体と価格帯が異なるため、購入前に商品名をご確認ください。
ATH-M20xが唯一の正解ではありません。目的が違えば答えも変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| audio-technica ATH-M30x | ¥13,310 | 音量の余裕をもう一段求めたい人。詳しくは単体レビュー |
| AKG K240 STUDIO | ¥10,800最安 | セミオープン型の装着感を試したい人(密閉性は下がる点に注意) |
| SONY MDR-7506 | ¥14,861 | 海外でも標準的に使われる密閉型モニターと比較したい人 |
(M30xは2026.08.25、K240 STUDIOは2026.09.07、MDR-7506は2026.08.31時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は単純です。音量の余裕を優先するならM30x、密閉型以外の装着感も試したいならK240 STUDIO、価格より実績を優先したいならMDR-7506という並びになります。ATH-M20xは、この中でもっとも価格を抑えつつ密閉型の条件を満たしたい人向けの位置づけです。
海外レビューでは、価格の割に癖の少ない音だという評価が中心です。Sonarworksは自社の測定をもとに、密閉型の中でも周波数特性がニュートラルな部類に入ると位置づけ、左右チャンネルの揃い方は上位のM50xより良好だと指摘しています。HigherHzも中域はほぼ平坦だと評価し、50ドル前後で選べるスタジオ用ヘッドホンとして推しています。SoundGuysは、曲のトラッキングやポッドキャストの編集といった予算重視の用途に向くとしています。
不満点として複数のレビューで一致しているのは低域です。SonarworksとHigherHzはどちらも60Hzあたりから下が伸びないとしており、SoundGuysもタムやベースが引っ込んで聞こえると指摘しています。高域についても、5kHz付近の落ち込みを挙げるレビューが複数あります。作りの面では、プラスチック主体で上位のM40xより安っぽく感じる、折りたためない、ケーブルが着脱できないという指摘が並びます。
装着感は意見が割れています。HigherHzは軽くて側圧が弱く快適だとする一方、SoundGuysは2時間ほどで耳が痛くなるとしており、Sonarworksも1時間程度で休憩を挟む必要があるとしています。
実務的には、低音の量感を確かめる作業には向かず、ボーカルやセリフの編集、ミックスの大枠の確認といった中域主体の作業で力を発揮する機種です。短時間の作業が中心なら、装着感の不満も出にくいと考えられます。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は表に記載しています。
評判の参照元: