宅録の悩みは「部屋の反響が録音に混ざる」ことです。この悩みへの対処には、大きく分けて部屋そのものを防音・吸音工事する方法と、マイクの周りだけを覆って反射を減らす方法があります。sE Electronics Reflexion Filter PROは後者です。マイクスタンドに取り付ける多層構造のパネルで、マイクの背後や横から回り込む反射音を減らします。
選ばれる理由は3つです。
1. 帯域全体に均一に働くとされる多層構造。 公式は特許取得の多層構造を採用し、周波数帯域全体に均一に働いて音に色付けしない設計だと説明しています。薄い吸音材は高域ばかりに効いて音がこもりがちですが、そうならないことを狙った設計です。層の枚数や素材の内訳は、公式ページには記載がありません。
2. 一般的なマイクスタンドにそのまま付く。 垂直型のマイクスタンドに取り付け、パン(左右の向き)とチルト(上下の角度)を調整できます。可動部はクロムメッキ処理で、摩耗しにくくしてあります。録音する部屋や位置が変わっても、スタンドごと持ち運んで設置し直せます。
3. 同梱物だけで設置が完結する。 マウントブラケット・専用レンチ・マイクスタンド用のネジアダプターが同梱されており、追加でパーツを買い足す必要がありません。
ただし、これは部屋そのものの響きや外から入り込む生活音を消す製品ではありません。その境界線は次の項目で説明します。
比較の軸を先に決めます。
sE Electronics公式ページの記載に基づく仕様です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 特許取得の多層構造(層の枚数・素材の内訳は公式ページに記載なし) |
| 可動機構 | パン・チルト対応、クロムメッキ加工の可動パーツ |
| 同梱物 | マウントブラケット、専用レンチ、マイクスタンド用ネジアダプター |
| 対応スタンド | 垂直型のマイクスタンドで最も安定する設計。頑丈なブームスタンドでも使えるが、バランスとカウンターウェイトに注意が要る(公式FAQ) |
| 想定用途 | ボーカル、アコースティックギター、ギター/ベースアンプ、オーケストラ・弦楽器、ピアノ、木管・金管楽器、キック、ルーム収録(公式記載) |
数字ではなく設計方針の説明が中心の製品なので、判断に効く点を訳します。
寸法・重量は公式に記載がありません。 設置場所の奥行きや、手持ちのスタンドで支えられるかは、販売店の商品ページで確認してから選ぶのが確実です。
ブームスタンドは「使えるが注意が要る」。 公式FAQは、垂直型のスタンドで最もよく機能する設計だとしたうえで、頑丈なブームスタンドなら使えるとしています。ただしフィルターとマイクを合わせた重さが先端にかかるため、バランスとカウンターウェイトに十分な注意が要るという説明です。高価なマイクを載せる場合は特に、垂直型スタンドで組むほうが安心です。
減らす対象は「マイク近傍の一次反射」です。 マイクの背後や横の壁・机の天板などで跳ね返り、直接音より少し遅れてマイクに届く反射音を、多層構造で吸収・拡散します。これによって声や楽器の音が「部屋の中で鳴っている感じ」から離れ、輪郭がはっきりしやすくなります。
減らさない対象は「部屋全体の低域の響き」です。 部屋の角や壁面で発生する低域の共鳴(いわゆるルームモード)は、パネル1枚の吸音材で解決できる規模の問題ではありません。低域の響きが気になる場合は、部屋のコーナーに設置する専用の吸音材(ベーストラップ)など、別のアプローチが必要です。
遮音材ではありません。 外の道路の交通音やエアコンの音のように、壁を通って部屋に入ってくる音そのものを防ぐ効果は想定されていません。この製品はあくまで「部屋の中で反射した音」を減らす道具です。周辺の生活音そのものが問題なら、収録時間帯を変える、窓を防音する、といった別の対策が要ります。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥27,500 | 2026.09.13 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4530027259861 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「sE Electronics Reflexion Filter PRO」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。2026.09.13時点の楽天市場では¥27,500から¥35,200前後まで、店舗によって幅がありました。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。カラー(通常/ブラック)によって価格が異なる場合があります。
Reflexion Filter PROが唯一の正解ではありません。予算と設置の考え方で答えが変わります。
| 製品 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| sE Electronics RF-X | ¥14,960最安 | 価格を抑えつつ、同じsE製のリフレクションフィルターを試したい人 |
| KAOTICA EYEBALL | ¥33,000 | 背後だけでなく、マイクを球状に囲むタイプを検討したい人 |
| Aston Microphones HALO | ¥54,450 | 半円形の大型パネルで、より広い面積の反射を抑えたい人 |
(価格はいずれも2026.09.13時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「価格」と「覆う面積・密閉度」です。まず価格を抑えて試したいならRF-X、マイクを球状に囲むタイプを試したいならKAOTICA EYEBALL、より広い面積で反射を抑えたいならAston HALOかReflexion Filter PRO、という並びになります。
海外メディアの評価は割れています。Mixdown MagazineやThe Mixing Tipsのレビューは、多層構造が安価な吸音材のように高域だけを削らない点を評価し、設置の手軽さと可搬性を肯定的に紹介しています。The Mixing Tipsは特に目立った欠点を挙げていません。
一方、ナレーション・ボイスオーバー系メディアのGravy For The Brainは懐疑的な立場を示しています。単一指向性マイクはもともと背面や側面の音を拾いにくい設計のため、その背後に置くリフレクションフィルターが減らしている音は、マイク自身の指向性がすでに拒否している範囲とかなり重なるという指摘です。同記事は装着の有無で録り比べても違いを感じなかったとしていますが、記事へのコメント欄では一次反射の低減に効果を感じるという反論も出ており、評価が一致していません。
実務的には、低域の響きや外から入る生活音まで抑える製品ではなく、マイク近傍の一次反射を減らす道具だという前提で使うと、期待値のずれを防げます。単一指向性マイクをすでに使っている場合は、導入前に無しの状態と聴き比べてから判断するのが確実です。
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