シーケンサーを検討し始めると、MIDI機器しか鳴らせない機種と、アナログシンセやモジュラーまで鳴らせる機種に分かれることに気づきます。ArturiaのBeatStep Proは後者です。3つのシーケンサーを同時に走らせながら、MIDIとCV/Gateの両方を出力できます。
選ぶ理由は3つです。
1. メロディ2系統・ドラム1系統を同時に走らせられる。 2つのモノフォニックなメロディシーケンサーと、16パッド分のトラックを持つドラムシーケンサーが独立して動きます。ベース、リード、ドラムを1台で同時に鳴らす、といった組み方がパソコンなしで完結します。
2. CV/Gateにも対応する。 メロディシーケンサーはそれぞれピッチCV・ベロシティCV・ゲートの出力を持ち、1V/オクターブ・10VゲートというアナログシンセやEurorackモジュラーの標準規格に対応しています。ドラムシーケンサーもパッドごとに8系統のゲート出力を持ち、往年のアナログドラムマシンやモジュラーの打楽器音源を鳴らせます。MIDI音源とアナログ機材を、同じテンポで同時に走らせられるのはこの仕組みのおかげです。
3. 1シーケンスあたり最大64ステップ。 一般的な16ステップのシーケンサーより長いフレーズを1パターンの中に収められます。展開のあるフレーズや、変拍子気味のパターンも組みやすくなります。
比較の軸を先に決めます。
BeatStep Proは、複数パートを同時に、しかもMIDIとアナログの両方で鳴らしたい人向けの機種です。
Arturia公式製品ページの記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| シーケンサー構成 | メロディ用モノフォニックシーケンサー×2、ドラム用シーケンサー×1(パッドごとに1トラック、計16トラック) |
| 最大ステップ数 | メロディシーケンスあたり最大64ステップ |
| パッド | 16(ベロシティ・圧力感知) |
| プロジェクト | 16プロジェクト(各プロジェクトにメロディ16×2シーケンス、ドラム16シーケンス、コントローラーマッピングを保持) |
| CV/Gate出力(メロディ系統) | ピッチCV・ベロシティCVの2系統+ゲート1系統(1V/オクターブ、10Vゲート) |
| ドラムゲート出力 | 8系統(パッドごと) |
| MIDI | IN/OUT(付属アダプター使用) |
| USB | USBクラスコンプライアント |
| クロック同期 | 複数の外部クロック規格に対応 |
| サイズ | 415×163×36mm |
| 重量 | 1.45kg |
| 電源 | USBバスパワー駆動(スタンドアロン運用時はUSB電源アダプター使用を推奨。具体的な消費電力は未確認) |
数字のままでは判断できないので、効いてくる項目だけ訳します。
CV/Gate出力が1V/オクターブ・10Vゲート — これはアナログシンセ・Eurorackモジュラーの業界標準規格です。この規格に対応しているということは、Arturia製品に限らず、幅広いメーカーのアナログ機材をそのままつなげるという意味です。
最大64ステップ — 一般的な16ステップのドラムマシンやシーケンサーの4倍の長さです。同じパターンを繰り返すだけでなく、1パターンの中でフレーズを展開させる組み方ができます。
重量1.45kg・サイズ415×163×36mm — 卓上に据え置いて使う前提のサイズと重さです。バッテリー駆動には対応しておらず、ライブや外出先での使用にはUSB給電またはUSB電源アダプターが必要です。
16個のタッチセンス付きエンコーダーとLCD。 ノブに触れるとLCDに音名やパラメータ名などの文脈情報が表示される仕組みです。ステップごとのノート・ベロシティ・ゲートタイムを個別に調整でき、単なる音量ノブの集合ではなく、シーケンスの細部を作り込むための操作系になっています。
ランダマイザー機能。 発生確率や変化の度合いを調整できるランダム化エンジンを搭載しています。パターンに毎回同じ展開ではなく、演奏のたびに違うバリエーションを加えられます。
リアルタイム録音とステップ入力の両方に対応。 外部MIDI機器の演奏をそのまま録音する方法と、パッドやステップボタンで打ち込む方法の両方が使えます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥29,120 | 2026.09.05 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | 「Arturia BeatStep Pro」での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「Arturia BeatStep Pro」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。中古・未使用品は今回の価格調査から除外しています。
BeatStep Proが唯一の正解ではありません。求める機能によって答えは変わります。
| 機種 | 税込 | 向いている人 |
|---|---|---|
| KORG volca sample2 | ¥19,990 | 本体だけで音を鳴らしたい人。サンプル音源を内蔵しています。詳しくはKORG volca sample2の単体レビューで解説しています |
| Teenage Engineering PO-20 Arcade | ¥18,700最安 | 電池駆動で持ち歩ける小型リズムマシンが欲しい人。詳しくはTeenage Engineering PO-20 Arcadeの単体レビューで解説しています |
| KORG SQ-64 | ¥33,943 | CV/Gate対応のシーケンサーは欲しいが、パッドでの打ち込みよりステップボタン主体の操作を好む人 |
(価格はいずれも2026.09.05時点の楽天市場での実売価格)
分かれ目は「本体だけで音が鳴るか」と「持ち歩けるか」です。本体だけで完結させたいならvolca sample2、携帯性を優先するならPO-20 Arcade、MIDIとCV/Gateを同時に3パート走らせたいならBeatStep Pro、という並びになります。
音楽メディアRA(Resident Advisor)のレビューでは、初代BeatStepからの進化として、LCD付きタッチエンコーダーによる操作性の向上、3系統同時のシーケンサー構成、CV出力を含む19ポートの接続性、確率・強度を調整できるランダマイザーが評価されています。MusicRadarのレビューも、ビルド品質と人間工学に基づいたレイアウト、USB MIDI・5ピンMIDI・CV/Gateという幅広い接続性を評価し、「楽しく多用途なマシン」と結論づけています。
一方で両メディアとも具体的な不満点を挙げています。RAは、パッドで打ち込んだノートにスケール制約をかけられない点、パソコンなしでは入出力のMIDIチャンネルを紐付けられない点、パターンのオートセーブが無い点、パターンチェーンによる曲単位の連結ができない点を指摘しています。MusicRadarは、本体のコンパクトさゆえにライブ中のMuteボタン・Randomiseボタンへのアクセスがしづらいこと、事前クオンタイズが無いこと、MIDIチャンネルの割り当てがシーケンス単位ではなくシーケンサー単位でしか設定できないことを挙げています。加えて、Gearspaceのファームウェア更新スレッドでは、過去のアップデートで外部クロック同期時のタイミングがかえって不安定になったという報告があり、複数のユーザーが最新版への更新前に既存の設定での動作確認を勧めています。
実務的には、単体でのライブ演奏よりも、DAWと組み合わせた制作用途や、アナログ機材とMIDI機材を同期させる用途で強みが出やすい機種です。
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評判の参照元: