シンセサイザーを増やす前に、今持っている機材を鳴らし切れているか。KORG SQ-1は、その問いに答えるための道具です。SQ-1自体は音を出しません。かわりに、手持ちのアナログシンセやモジュラー機材へ向けてCV(電圧による制御信号)とGATE(発音のオン・オフ)を送り出すステップシーケンサーです。
選ばれる理由は3つです。
1. CV OUT電圧を機材に合わせて切り替えられる。 アナログシンセは、メーカーや世代によってCVの電圧規格が違います。SQ-1は1V・2V・5V(V/Oct)・8V(Hz/V)の4種類から選べるため、規格の違う複数のシンセを1台で鳴らし分けられます。
2. CV/GATEだけでなくMIDIも出せる。 USB Type-B端子を備えており、パソコンやMIDI対応の音源にもつなげます。アナログとデジタルの機材を、シーケンサーを買い替えずに橋渡しできます。
3. 単3電池2本で動く。 コンセントの位置に縛られず、モジュラーケースの近くやライブの現場に持ち込んで使えます。
比較の軸を先に決めます。CV/GATEシーケンサーを選ぶときに効いてくる条件は3つです。
SQ-1は「音源を持たない代わりに、鳴らせる相手を広く取る」という設計です。
KORG公式ページの記載に基づいて数値を並べます。
| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| シーケンサー構成 | 2系統×8ステップ(直列で16ステップ、並列で2声としても使用可) | |
| シーケンサー・モード | ALTERNATE、ORDER、PARALLEL TURN、PARALLEL ORDER、CV/DUTY、CV/SLIDE、CV/DUTY \ | RANDOM、RANDOM |
| ステップ・モード | GATE ON/OFF、ACTIVE STEP、SLIDE、STEP JUMP | |
| ステップ分解能 | 4分音符、8分音符、16分音符 | |
| CV OUT音程 | リニア、マイナー、メジャー、クロマチック | |
| CV OUT電圧 | 1V、2V、5V(V/Oct)、8V(Hz/V) | |
| 接続端子 | CV-A OUT/GATE、CV-B OUT/GATE、SYNC IN/OUT、littleBits OUT、USB Type-B(MIDI) | |
| 電源 | 単3形乾電池2本またはUSBバスパワー(電池寿命約5時間、アルカリ使用時) | |
| サイズ・重量 | 193×84×63mm・641g(電池含まず) |
数字だけでは判断しづらい項目を訳します。
シーケンサー構成 2系統×8ステップ — A系統とB系統を別々のシンセに向けて同時に鳴らす、あるいは直列につないで1本の16ステップとして使う、という2通りの使い方ができるという意味です。ベースラインとメロディを別のシンセで同時に鳴らす、といった組み方が本体1台で完結します。
CV OUT電圧 4種類 — これがSQ-1の核になる仕様です。同じ「1オクターブ上がる」という指示でも、機材によって必要な電圧が異なります。V/Oct方式の機材にもHz/V方式の機材にも合わせられるということは、世代や国の違う中古シンセを寄せ集めても、電圧の不一致であきらめずに済むという意味です。
接続端子 littleBits OUT — littleBits Synth Kitのモジュールへ直接信号を送れる専用端子です。教育用・入門用の電子ブロック玩具ともそのままつながるという、他のシーケンサーにはあまり見ない互換性です。
電源 単3電池2本 — モジュラーシンセのケースの中や屋外のライブなど、電源コンセントが遠い場所でも設置場所を選ばずに使えます。USBバスパワーにも対応しているため、パソコンにつないでいる間は電池を消費しません。
CVとGATEというと分かりにくい用語ですが、やっていることは単純です。
CVは「どの高さの音を鳴らすか」の指示。 アナログシンセの多くは、音程をMIDIのノート番号ではなく電圧の高さで受け取ります。SQ-1がCV OUTから送る電圧の高さが、そのままシンセの音程になります。
GATEは「今、音を鳴らすかどうか」の指示。 電圧がオンになっている間だけ音が鳴り、オフになると音が止まります。ステップシーケンサーが刻むリズムの正体は、このオン・オフの繰り返しです。
SLIDE・STEP JUMPは、演奏中に触って変化を作る機能。 SLIDEは音程を滑らかにつなげるステップモード、STEP JUMPは再生位置を手動で飛ばす機能です。あらかじめ決めた通りに再生するだけでなく、演奏中に触って展開を作る使い方に向いています。
RANDOM系のモードは、毎回同じにならないパターンを作る。 CV/DUTY | RANDOMやRANDOMといったモードでは、音程やデューティ(発音の長さ)がランダムに変化します。狙って作るメロディとは別に、偶然性を取り入れたフレーズを探る用途に使えます。
| ストア | 税込 | 状況 | 購入 |
|---|---|---|---|
| 楽天市場 | ¥16,500 | 2026.09.21 取得時点の実売価格 | 楽天市場で見る |
| Amazon | リンク先で確認 | JAN 4959112123342 での検索結果を開きます | Amazonで見る |
| サウンドハウス | リンク先で確認 | 「KORG SQ-1」での検索結果を開きます | サウンドハウスで見る |
価格は日々動きます。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。
CV/GATEシーケンサーの中でも、機能と価格の位置づけが違う3台と比べます。
| 機種 | 税込目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Arturia BeatStep Pro | ¥29,120 | シーケンサー自体に2メロディ+1ドラムトラックを持ち、単体で作曲を完結させたい人(2026.09.01時点) |
| KORG SQ-64 | ¥33,943 | 16ステップの制約を超え、ポリフォニックで複数トラックを組みたい人(2026.09.01時点) |
| 音源内蔵の小型グルーヴボックス(KORGヴォルカシリーズ等) | 1万円台〜最安 | 外部シンセを持たず、これから音源ごと揃えたい人 |
SQ-1が優れているのは「安価な入り口でありながら、CV規格の広さで多くのアナログ機材に対応する」点です。単体で曲を完結させたいならBeatStep Pro、ステップ数やトラック数を増やしたいならSQ-64、そもそも鳴らすシンセを持っていないなら音源内蔵のグルーヴボックス、という切り分けになります。
モジュラーシンセ愛好者が集まる海外フォーラムのMOD WIGGLERでは、SQ-1は価格に対する完成度の高さで繰り返し評価されています。Roland System 100のシーケンサーを踏襲した設計で、2系統のステップをアクティブ・ステップ・ジャンプで自由に飛ばしながら演奏する操作性が「触っていて楽しい」と好意的に語られています。MIDIを主眼にしたシーケンサーと単純に比較するのは的外れで、あくまでCVシーケンサーとして評価すべきだという指摘も見られます。
一方で弱点として挙げられているのは、打ち込んだパターンを保存するメモリー機能が無く電源を切ると打ち直しになること、音程を確認する表示(ディスプレイ)が無いため耳だけを頼りに音程を合わせる必要があること、そしてシーケンスの先頭に戻すリセット入力を含め、他のモジュラー機器と比べてCV入力の種類が少ないことです。ユーロラック環境との統合は完璧ではないという評価もありますが、それでも価格に見合う道具だという結論でまとまっています。
楽天のレビュー傾向は情報が薄く、この記事では参照していません。
価格は楽天市場の商品検索から取得しました。取得日は表に記載しています。
評判の参照元: