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マスタリングソフト / REVIEW

音圧を上げる前に、限定生産ハードウェアの質感を通したい人へ|
2012年に世界50台しか作られなかったハードウェアを、特許技術でモデリングしたコンプレッサーです

2026.09.28 公開
音圧を上げる前に、限定生産ハードウェアの質感を通したい人へ
MODEL
Shadow Hills Mastering Compressor Class A
CONCLUSION
マスタリングの仕上げを、AIによる自動処理ではなく限定生産ハードウェアコンプレッサーの質感で通したいなら、Shadow Hills Mastering Compressor Class Aが候補になります。理由は3つです。2012年にVintage Kingが世界50台限定で製造したハードウェアの「レッド」個体を、Brainworxの特許技術TMTで精密にモデリングしていること、光学式と離散回路の2段構成でオリジナルの無印(グリーン)版より速くパンチのあるVCA特性を持つこと、出力トランスをニッケル・アイアン・スチールの3種から選べ音の性格を作り分けられることです。ただし無印版より価格は上がり、GUIは決して直感的ではありません。

AIの自動処理ではなく、限定ハードウェアの質感を選ぶCONCLUSION

マスタリング用のプラグインには、iZotope Ozoneのように曲を解析して設定を自動で作るAI主導型があります。Shadow Hills Mastering Compressor Class Aはそれとは逆の方向性で、実在した1台のハードウェアの回路そのものを精密に再現することに専念したコンプレッサーです。

Class Aを選ぶ理由は3つです。

1. 世界50台しか存在しないハードウェアのモデリング。 2012年にVintage Kingが限定製造した「レッド」個体のClass Aバージョンを、Brainworxの特許技術TMT(Tolerance Modeling Technology)でモデリングしています。量産されなかった個体差込みの音を、ソフトウェアとして手元で使える形にしたプラグインです。

2. オリジナル(グリーン)版よりパンチのある特性。 光学式(オプティカル)と離散回路(ディスクリート)を組み合わせた2段構成のコンプレッションで、ゲインを同じ値に揃えて比較した場合、Class A版はグリーン版より1〜3dBほど出力が高く、より速くパンチのあるVCA特性と滑らかな圧縮音を持つとされています。

3. 出力トランスを3種から選べる。 ニッケル・アイアン・スチールの3種類の出力トランスを切り替えられ、同じ回路でも音の性格を作り分けられます。ステレオ・デュアルモノ・M/S処理にも対応し、マスタリングの最終段で音の輪郭と奥行きを調整する自由度があります。

一方で、無印版よりも価格は上がります。GUIは光学・離散の2系統のスレッショルドやゲイン、M/S処理、パラレルミックスなど多数のパラメーターが並ぶ構成で、直感的に触って完成させられるタイプの処理ではありません。

無印(グリーン)版かClass A版かCRITERIA

比較の軸は3つです。

  • どちらの個体の質感が欲しいか。 無印版はオリジナルのハードウェアを忠実に再現したものです。Class A版はその中でも「レッド」と呼ばれる限定個体を再現しており、より速くパンチのある特性を求めるならClass A、素直な質感を求めるなら無印という分かれ方になります。
  • AIによる自動化を求めるか、回路の質感そのものを求めるか。 Master Assistantのような自動提案機能が欲しいなら、この製品ではなくOzoneのような統合型ソフトが向いています。Shadow Hillsは、パラメーターを自分で追い込んで音を作るタイプの処理です。
  • GUIの複雑さを許容できるか。 光学・離散の2系統を持つパラメーターの多さは、細部まで追い込みたい人には長所ですが、初めてのマスタリングソフトとしてはハードルになります。

限定ハードウェアの再現度そのものに価値を感じ、パラメーターの多さを厭わない人が、Class A版の対象になります。

何を指しているのか、専門用語を訳すSPEC

公式ページの説明に基づいて、専門用語をひとつずつ日本語に訳します。

TMT(Tolerance Modeling Technology) — Brainworxが特許を持つモデリング技術です。回路図どおりの理想値ではなく、ハードウェアの部品ひとつひとつが持つ製造誤差(トレランス)まで含めて再現する手法で、この製品では2012年製の個体固有の質感を再現するために使われています。

光学式(オプティカル)+離散回路(ディスクリート)の2段構成 — 光を使って圧縮量を制御する光学式段と、個別部品で組んだ離散回路のVCA段を直列に通す構成です。片方だけの回路より複雑な圧縮の掛かり方になり、これが「ビンテージらしい質感」と評される所以です。圧縮の解放(リリース)は最初の80%が素早く戻り、残り20%は1秒以上かけてゆっくり戻る、2段階の特性を持ちます。

出力トランス(ニッケル/アイアン/スチール) — 信号が最後に通過するトランスフォーマーの素材を切り替える機能です。素材によって倍音の乗り方や質感が変わり、同じ圧縮量でも仕上がりの印象を調整できます。

Class A版とグリーン版の違い — Class A版はグリーン版よりゲインを揃えた状態で1〜3dB出力が高く、より速くパンチのあるVCA特性、滑らかな圧縮音、より大きなサイズ感と奥行きを持つとされています。ランプの色も、グリーン版が緑、Class A版が赤と異なります。

Class A版だけの機能FEATURES

M/S処理・ステレオ幅調整。 ミッド(中央)とサイド(左右)を個別に圧縮できるM/S処理と、ステレオの広がりを調整する機能を備えています。マスタリングの最終段で、曲の中心と広がりのバランスを別々に整えられます。

パラレルミックス。 圧縮前の信号と圧縮後の信号を混ぜ合わせる処理です。強くかけた圧縮の質感を残しながら、原音のダイナミクスも同時に保てます。

サイドチェーンフィルター。 圧縮のトリガーとなる周波数帯域を絞り込む機能です。低域の変化に反応しすぎて全体が不自然にうねる、といった事態を避けながら圧縮をかけられます。

モノメーカー。 ステレオ信号の低域だけをモノラルに集約する機能です。マスタリングの仕上げでよく使われる処理で、低域の位相の乱れによる再生環境ごとの聞こえ方の差を抑えます。

どこで買うかPRICE

ストア税込状況購入
楽天市場¥29,5992026.09.28 取得時点の実売価格(ミュージックランドKEY WEST。ダウンロード版/メール納品)楽天市場で見る
Amazonリンク先で確認JAN 4533940158129 での検索結果を開きますAmazonで見る
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ダウンロード納品のソフトのため、価格が販売店ごとに大きく異なります。購入前に、表のボタンから最新の価格をご確認ください。

同じ用途で比べられる選択肢ALTERNATIVES

Class A版が唯一の正解ではありません。求める質感や予算によって答えが変わります。

選択肢税込向いている人
Shadow Hills Mastering Compressor(無印/グリーン版)¥27,000最安Class A版のパンチより、オリジナルの素直な質感を求める人
iZotope Ozone 12 Advanced¥44,400(記事掲載時点)回路の質感よりAIによる自動処理と、EQ・リミッターまで1本で完結させたい人。詳しくはOzone 12 Advancedの記事で解説しています
DAW付属のマスタリング用エフェクト追加費用なしまずは手持ちのDAWの機能だけで仕上げを試したい人

(無印版の価格は2026.09.28時点の楽天市場での実売価格)

分かれ目は単純です。オリジナルの素直な質感を求めるなら無印版、AIによる自動処理と多機能な統合ソフトを求めるならOzone、まずは追加費用なしで試したいならDAW付属のエフェクト、そして限定ハードウェアのパンチと質感を追い込みたいならClass A版という並びになります。

使った人は何と言っているかREPUTATION

Class A版の発売を伝えたrekkerd.orgは、2012年当時50台限定でしか流通しなかった「レッド」版を精密に再現したモデリングだと紹介し、グリーン版よりパンチが速く汎用性が高いと位置づけています。Gearspaceの製品スレッドでも好意的な投稿が複数見られ、価格に見合う価値がある、音がクリアで扱いやすい、複数の使い分けができて柔軟だ、といった評価が挙がっています。一方で同じスレッドには、同価格帯のElysia Alphaのような他の選択肢を薦める投稿もあり、評価が一色に染まっているわけではありません。

不満点として繰り返し指摘されるのはGUIの複雑さです。KVR AudioのClass A専用スレッドでは、光学・離散の2系統分のコントロールが並ぶ画面について、見た目は良いがソフトウェアとしての操作性に落とし込めていない、似た形のノブが並んで見分けにくい、という指摘がある一方、オプト段とディスクリート段をステレオで持つだけの構成だと分かれば難しくない、という擁護的な投稿もあり、評価は割れています。共通しているのは、ワークフローの取っつきやすさよりも情報量の多さが先に立つ画面だという点です。

楽天のレビューは1件・平均5.0で、判断材料にできるほどのサンプル数ではありません(取得日2026.09.28)。実務的には、マスタリングの経験が浅いうちはプリセットから触り始め、パラメーターの役割を一つずつ確認しながら使うのが無難です。

買わなくていい人DO NOT BUY IF

  • まだミックスの前段階でつまずいている人。 マスタリングはミックスが完成したあとの最後の仕上げ工程です。ミックス段階で音のバランスが取れていない場合、このプラグインを導入しても根本的な問題は解決しません。
  • AIによる自動処理や、EQ・リミッターまで1本で完結させたい人。 Shadow Hillsは圧縮に特化した単機能のプラグインです。Master Assistantのような自動提案や多モジュール構成を求めるなら、Ozoneのような統合型ソフトのほうが向いています。
  • 直感的な操作で完結させたい人。 光学・離散の2系統分のパラメーターが並ぶ画面は、初めてのマスタリングプラグインとしてはハードルが高めです。まずはシンプルな操作感のツールから始めたい場合は、この製品でなくても構いません。

次に読むNEXT

スペックの出典SOURCES

  • Plugin Alliance公式 Shadow Hills Mastering Compressor Class A製品ページ https://www.plugin-alliance.com/en/products/shadow_hills_class_a_mastering_comp.html

価格は楽天市場の商品検索から取得しました(2026.09.28時点)。

評判の参照元:

  • rekkerd.org「Shadow Hills Mastering Compressor Class A available at Plugin Alliance」 https://rekkerd.org/shadow-hills-mastering-compressor-class-a-available-at-plugin-alliance/
  • Gearspace「Plugin Alliance - Shadow Hills Mastering Compressor Class A」 https://gearspace.com/threads/plugin-alliance-shadow-hills-mastering-compressor-class-a.1294566/
  • KVR Audio「Shadow Hills Mastering Compressor Class A」 https://www.kvraudio.com/forum/viewtopic.php?t=540543
  • 楽天ユーザーレビュー 1件・平均5.0(取得日2026.09.28)